菅原経産相辞任

トップ辞任で政策停滞の懸念 梶山経産相は課題山積の中でスタート

 有権者への贈答といった疑惑を受け菅原一秀氏が25日、経済産業相を突然辞任したことで、経産省が取り組む政策が停滞する恐れがある。関西電力の金品受領問題への対応や、台風19号の被害からの中小企業の復旧や復興支援は始まったばかり。来月には東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の年内妥結に向けた閣僚会議を控える。後任の梶山弘志経産相は、国内外の課題が山積する中でのスタートとなる。

 関電の高浜原発に絡む金品受領問題で、菅原氏は「ゆゆしき問題だ」などと批判し、対応に意欲を示していた。だが、その菅原氏が金品の贈答疑惑で辞任に追い込まれた。野党側は原発の再稼働と絡めて、反発を強める可能性がある。

 「設備復旧の補助や、商店街の再建をバックアップしたい」。辞表を提出する前日の24日、全国商工会連合会の幹部らが経産省を訪れ台風19号で被害を受けた中小企業の支援を求めたのに対し、菅原氏はこう応じた。だが、突然の辞任で、復旧への取り組みが後退する懸念は拭えない。

 そのほか、国内政策では消費税増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元制度で、経産省が運営の指揮を執る。制度がスタートした当初、経産省のスマートフォン向けアプリやホームページでは、延べ2万件の店舗情報の誤りが見つかった。すでに誤りは修正されているものの、制度の円滑な運営は欠かせない。

 海外に目を向けると、日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加するRCEP交渉が大詰めを迎えている。参加国は11月初めにタイで開催する首脳会議での妥結を目指している。地ならしのため11月1日にも閣僚会議を開き、菅原氏が出席を予定していたが、これまで通り日本が議論を主導できるかは見通せない。

 また、韓国は9月、日本の半導体材料の対韓輸出管理の厳格化を不当とし、世界貿易機関(WTO)に提訴した。2国間協議でも解決できず、最短で11月中旬にも裁判の1審にあたる紛争処理小委員会(パネル)での審理に移行する見通しだ。経産省幹部は「誰が大臣でも影響はない」と強調するが、気の抜けない状況が続く。(大柳聡庸)

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