海外情勢

中南米で政治リスク再燃 投資家は既に織り込み済み

 金融市場で伝統的に政治リスクの典型として挙げられることの多い中南米が再び投資家の懸念材料になりつつある。

 チリのピニェラ大統領は19日、公共交通機関の運賃引き上げに対する抗議デモの激化を受け、非常事態宣言を発令。それに先立ちエクアドルでは、モレノ大統領が燃料補助金を打ち切ったのを受け、国民の間に混乱が広がった。

 一方、アルゼンチンでは資本規制が導入され、有権者はマクリ大統領の予算削減に反発している。

 投資家や国際通貨基金(IMF)などが求める緊縮財政について、中南米の市民は所得格差の縮小や社会福祉事業の改善にはほとんど効果がないと主張し、再び反対している。指導者らは緊縮財政の必要に迫られる状況にあるものの、実施すれば政治的混乱に拍車を掛け、自身の立場も危うくなる公算が大きいことも承知している。

 ユーラシア・グループの中南米担当マネジングディレクター、ダニエル・カーナー氏は 「大統領らは調整の必要性と調整の実行不可能な状況との間で板挟みだ」と指摘した。

 中南米の指導者にはなじみ深いこんなジレンマは、商品ブームの終わりや経済成長の減速、政府債務の増加で深まっている。IMFのデータによると、南米の政府債務は今年、国内総生産(GDP)比78%と、10年前の51%から上昇する見通し。

 投資家はすでに政治的リスクを織り込みつつある。各国にはそれぞれ特定の火種があるが、いずれのケースでも市場寄りの政策課題への政府のサポートや歳出削減の機運が弱まる公算が大きい。(ブルームバーグ Juan Pablo Spinetto)

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