海外情勢

ルイヴィトンのLVMHがティファニー買収案 1.6兆円を提示

 フランスの高級品大手LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが米宝飾品のティファニーに約145億ドル(約1兆5800億円)の現金による買収案を提示したことが分かった。複数の関係者が明らかにしたもので、実現すればLVMHにとって過去最大の買収となる。

 英紙「拒否の見込み」

 関係者によると、LVMHは1株当たり120ドル前後の全額現金による買収を提案したという。この額は25日のティファニーの株価終値(98.55ドル)を約22%上回る水準にあたる。

 LVMHは2017年に「クリスチャン・ディオール」の未保有株を70億ドルで取得したが、ティファニー買収はこれを上回る金額で、ベルナール・アルノー会長の下、昨年の高級ホテルチェーン「ベルモンド」買収以来の大型案件となる。

 ティファニーの株価は年初来で約22%上昇し、時価総額は120億ドルに膨らんだが、まだ18年7月に付けた139.50ドルの高値は下回る。LVMHの株価は年初来で49%上昇し、時価総額は約2150億ドル。

 英紙フィナンシャル・タイムズは27日付で、買収額が低すぎるとしてティファニーがLVMHによる一方的な買収提案を拒否する見込みだと報じた。

 高級ブランド市場は中国人消費者が牽引(けんいん)してきたが、米中貿易戦争や香港の反政府デモ長期化で先行き不透明感が広がっている。LVMHは売上高でアジアに次ぐ米市場に照準をあてて、事業の多角化を進めたい考えだ。

 米事業拡大に注力する同社は今月、テキサス州に高級ブランド「ルイ・ヴィトン」の工房を新設した。落成式にはトランプ大統領と長女のイヴァンカさんが出席している。

 宝飾品業界浸透狙う

 LVMHはファッション業界に比べ、宝飾品業界ではまだリーダー的な存在ではない。同社は手頃な値段の商品を提供するティファニーを傘下に置くことで、潜在市場の掘り起こしにつなげたい考えだ。200万ユーロ(約2億4100万円)相当のブルガリの超高級腕時計とは異なり、有名なティファニーの婚約指輪は月収2~3カ月分の値段だ。

 ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の高級品部門シニアアナリスト、デボラ・エイトケン氏は「宝飾品市場にまだ浸透していないLVMHにとって、ティファニーは興味深い取り合わせだと判明するかもしれない」と指摘。ブランド物の宝飾品の売り上げが年およそ6%と、高級腕時計を約2%上回るペースで伸びており、ティファニー買収はLVMHがカルティエやヴァンクリーフ&アーペルを傘下に持つスイスのリシュモンなどライバル会社と競争する上で助けになるとの見方を示した。

 一方、BIの一般消費財担当アナリスト、シーマ・シャー氏は「ティファニーにとっても、LVMHが持つ幅広い知識の恩恵を受けることができる上、他の高級ブランドとの抱き合わせ販売やコラボレーションも可能だ」と見ている。

 腕時計やハンドバッグなどの分野では世界の高級ブランドが主流なのに対し、ダイヤモンドのペンダントや金のリングを購入するときに消費者はブランドにあまり重点を置かない。コンサルティング会社マッキンゼーの研究でも14年の宝飾品市場におけるブランドの割合は20%にとどめた。しかし、同社は20年までにこの数字は倍増すると予想している。(ブルームバーグ Ed Hammond、Ruth David)

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