海外情勢

欧州に最悪の事態警告 IMF見通し 緊急対策促すも独は懸念一蹴

 国際通貨基金(IMF)は6日、欧州域内の経済見通しを発表し、欧州は最悪の事態に備えて緊急対策を講じる必要があると警告した。域内最大の経済国であるドイツは欧州経済の原動力として刺激策を講じなくとも現在の難局を切り抜けるとのスタンスを変えておらず、両者の「温度差」は顕著だ。

 財政の協調対応示唆

 IMFはこの日、金融政策を通じた対応策は使い果たされており、リスクも波及していると強調。「下振れリスクの高まりに鑑み、緊急対策を実行できるよう用意しておくべきだ」と提言した。また、保護主義的な貿易や混乱を伴う英国の欧州連合(EU)離脱、地政学的問題などによるリスクの高まりを挙げ、「協調した財政対応」が必要となる可能性があると指摘した。

 さらに、ドイツとオランダに対して、成長促進のために政府支出を拡大すべきだとの見解を示した。そうした「慎重な財政拡大」は前向きな波及効果をもたらし、減速を食い止める一方で、対外不均衡を軽減するとみている。

 ドイツは7~9月期(第3四半期)に狭義のリセッション(景気後退)に入ったとみられており、労働市場も悪化し始めている。しかし、ショルツ独財務相はこうした懸念を一蹴し、減速する経済を押し上げるための財政刺激策は今のところ必要ないとの認識を示した。

 ブルームバーグがフランクフルトで開いた会合で、同相は「危機が現実となった場合、ドイツは行動を起こすべくあらゆる能力を備えている。しかし今のところ危機はなく、想定もしていない」と言明した。

 ただ独政府の助言機関である経済諮問委員会のフォルカー・ヴィーラント委員は、製造業の不況が経済全体をリセッションへと追い込む恐れがあると警告している。同氏は「世界貿易の落ち込みは製造業を直撃した。製造業はリセッションに陥っている」と述べ、「雇用が失われ、製造業が他のセクターの足を引っ張る恐れがある。(独経済全体の)リセッションのリスクは上昇したが、現在のところまだその段階には至っていないと分析している」と説明した。

 中銀に緩和維持提言

 IMFはこの日の経済見通しで、財政赤字や債務の水準が高い国であっても、否定的なシナリオが実現する場合には、財政再建のペースを一時的に落とすか、当面の財政拡大を検討すべきだと主張。各国政府は、超低金利を生かしてここ何年かのうちに資金調達の要件改善に向け、債務管理の選択肢を検討すべきだとしている。

 また、極端な量的緩和策の副次的な影響として、複数の国々で不動産などの資産価格が高騰し、リスク選好の急減や金融引き締めといった衝撃に対する銀行の脆弱(ぜいじゃく)性が高まっている点に警鐘を鳴らしつつも、各国中央銀行に対しては、景気後退を阻止するために緩和スタンスを維持するよう提言した。(ブルームバーグ Nikos Chrysoloras、Chris Reiter)

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