海外情勢

「盤石」米個人消費に迫る影 債務返済遅滞 引当金積み増しの動き

 JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は米個人消費について、「極めて強い」と太鼓判を押す。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も製造業部門の弱さとは対照的に、個人消費の明るさが際立つと指摘する。

 しかし、米国の家計が逼迫(ひっぱく)を感じ始め、消費で景気を下支えするのが困難になりつつあることを示す兆しもある。

 その証拠は債務面で顕在化している。クレジットカードや自動車ローンではこの数四半期、返済遅滞が90日以上の延滞率の数値が徐々に悪化している。一部の銀行はこうした状況を受け、貸倒引当金を積み増したり、クレジットカードなど消費者ローンの貸し出し基準を引き締めたりしている。

 そして、9月の米小売売上高が予想に反して7カ月ぶりの減少となったことが、新たな懸念材料に加わった。エコノミストはまだ、深刻な問題を目にしていないものの、米経済の70%近くを占める個人消費は、これまでよりも足元が揺らいでいる可能性がある。

 米製造業部門が今年上半期(1~6月期)にリセッション(景気後退)状態に陥り、企業が投資を切り詰める中にあって、米消費者のこのような動向は懸念すべき兆候と考えられる。

 グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「消費者は以前よりも不安になっており、われわれは一段と脆弱(ぜいじゃく)となっている」と指摘。「米経済の基調は非常に力強いはずだが、消費者はネガティブなニュースに一層敏感に反応しやすい状況にある」と話した。

 既に多くの銀行が情勢変化に対応している。このうちJPモルガンの場合、コンシューマーおよびコミュニティー・バンキング部門の与信残高が減ったにもかかわらず、同部門の貸倒引当金を13億ドル(約1420億円)と、1年前の9億8000万ドルから積み増しした。(ブルームバーグ Claire Boston、Elizabeth Rembert)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus