インタビュー

みずほ総合研究所 日米貿易協定 関税撤廃は痛み分け

 みずほ総合研究所主席研究員・菅原淳一さん(48)

 --日米両政府は貿易協定の締結で最終合意し、来年1月にも発効する見通しだ。評価は

 「今回の交渉で日本が求めたことは2点ある。一つは(日本が輸入する)農林水産品の関税引き下げについて、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で認めた水準以上の譲歩をしないということ。2つ目は、日本製の自動車に対し、通商拡大法232条に基づく追加関税と輸出数量規制を、米国が日本に発動しないとの約束を得ることだ。協定ではこの2点を確保できたので、日本は所期の目標を達成できた」

 --TPPで認められた、日本が輸出する自動車関税の撤廃は継続協議とされた

 「自動車の関税2.5%は、『さらなる交渉による関税撤廃』とされた。しかし、時期が明記されないなど、撤廃が約束されていないのは問題だ。自動車部品の関税もTPPでは9割弱で即時撤廃としていたが、これも米国からは『ゼロ回答』で残念だ」

 --政府はバランスが取れていると主張している

 「自動車と同部品の関税撤廃を約束しなかった分、日本も農産品の輸入関税の撤廃・削減対象を限定したので、“痛み分け”だ。両政府が公表しているベースでみると、日本が新たに関税撤廃・削減(自由化)を米国に約束した農産品の輸入額は約72億ドル(約7800億円)。これに対し、米国が自由化を約束した工業品も同じく約72億ドル(自動車と同部品を含まず)だ」

 --今後の見通しは

 「今回の協定発効後、米国はサービスや投資などを含む包括的な貿易協定の締結に向け、『第2段階』の交渉を求めるだろう。第2段階の交渉は日本にとっては厳しい。米国が為替条項など難しい要求を突きつけても、それをはね返す日本の交渉カードは限られるからだ」

                   

【プロフィル】菅原淳一

 すがわら・じゅんいち 一橋大学大学院法学研究科公法・国際関係専攻(国際関係論)修了。1996年富士総合研究所(現・みずほ総合研究所)入社。2001年経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部専門調査員などを経て、16年から現職。北海道出身。

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