海外情勢

雨傘広げ顔認識AIに抵抗 香港市民、中国本土並み監視懸念

 香港の法執行当局は、あらゆる画像に映った顔を警察のデータベースに照合できる人工知能(AI)ソフトウエアにアクセスできる。ただこのソフトが数カ月続く民主化要求の抗議活動を鎮圧するため使われているかどうかは明らかではない。事情に詳しい関係者が語った。

 参加者は顔にマスク

 非公開情報だとして匿名を条件に述べた関係者によれば、香港警察はオーストラリアのiオムニサイエントが手掛ける顔認識技術を少なくとも3年間にわたり利用可能で、同社エンジニアが使い方を数十人の警察関係者に教えた。

 このソフトは監視用のCCTVカメラなどに映った顔やナンバープレートの画像を解析し、警察のデータベースと照合、人混みの中でも容疑者を特定できる。

 iオムニサイエントのAIは、犯罪者の追跡のみならず、迷子捜しや交通管制まであらゆることに利用可能。関係者によると、街頭での抗議活動が6月に始まって以降に行われたトレーニングの一つでは、警察側がダッシュボードカメラを利用してナンバープレート番号を自動的に識別する方法を尋ねた。

 顔認識技術に対する懸念は抗議参加者に広がり、香港が中国本土のような監視国家に近づきつつあるとの恐怖心をかき立てている。

 デモ参加者はマスクで顔を覆い、CCTVカメラを破壊。雨傘を広げて破壊行為を隠す。香港政府は10月、ここ半世紀余りで初めて緊急権限を発動し集会でのフェースマスク使用を禁止したが、これが反発を招き暴力激化の引き金ともなった。

 香港の民主派団体、民間人権陣線(CHRF)の元リーダー、梁穎敏氏は「CCTVカメラに捉えられることを香港の人々は恐れている。フェースマスク着用の理由は警察の監視だ」と指摘した。

 当局は利用を否定

 香港政府は顔認識技術の利用法を幾つか開示している。ただ林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官率いる行政側や警察は、このテクノロジーを抗議活動の監視に使っているかどうかは明らかにしていない。

 香港政府政制・本土事務局の聶徳権(パトリック・ニップ)局長は6月、自動的な顔認識機能を備えたCCTVシステムを調達もしくは開発、あるいはそのような技術をCCTVシステムに応用した政府機関はないと述べていた。

 同局長のオフィスは顔認識技術に関する全ての質問は警察に問い合わせるよう伝えてきたが、警察からは何度コメントを求めても返答はなかった。「覆面禁止法」に違反したとして拘束された人々は少なくとも90人に上る。

 シドニーに本社を置くiオムニサイエントは香港警察が同社の顔認識技術を使っているかどうかに関する質問には答えなかった。

 iオムニサイエントによれば、同社のシステムは50カ国余りで使用されており、香港からの収入は全体の小さな一部にすぎない。香港ではプライバシー懸念から事業機会は比較的限られ、他の都市と比べカメラ設置数は少ないという。(ブルームバーグ Blake Schmidt)

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