インタビュー

丸紅経済研究所 日本は米中分断加速の空白埋めよ

 丸紅経済研究所所長・今村卓さん(53)

 --米中貿易協議の「第1段階の合意」の着地点は

 「米国が部分合意に転じたのは、一つは景気への配慮だ。12月に予定した対中関税第4弾は米国側も無傷ではいられず、本音は先送りしたい。何よりも中国による報復関税で打撃を受ける、トランプ大統領の支持基盤の農家への配慮がある。来年の大統領選に向け、通商分野での成果を打ち出すためにも、部分的でも先にまとめようと戦術を変更した。ただ、まだ、駆け引きは続く」

 --中国の経済成長率が落ち込む

 「4~9月期の成長率は6.0%増だったが、中国政府系以外の金融機関は来年は6%を切るとの見方が一般的だ。中国政府は米中摩擦の影響だけではなく、不可避な要因の積み重ねと分析し、長期戦や持久戦だと表現する。ただ、リーマン・ショック後のような大型インフラ投資の景気刺激策を打ち出す気配はない。投資の見返りが低いためで、資源価格も上がる地合にはない」

 --米中摩擦の長期的な展望は

 「貿易やハイテク分野で進む『デカップリング(米中分断)』の動きがさらに進む。米議会で、米国から中国への資金の流れを封じ込める動きがあり、中国から米国への資金流入を止める対米投資規制も強化される。昨年8月成立の『外国投資リスク審査現代化法』に基づく投資審査強化は、従来の安全保障や企業買収への規制だけではなく、先端技術の少額投資にも規制をかける。米国からのハイテク輸出規制も強化され、日本も、米国で開発した技術を中国で展開する戦略には注意が必要だ」

 --日本の対応策は

 「トランプ政権が世界への関与から手を引こうとする中で、ロシアはその空白になりつつある中東への影響力拡大を狙う。日本も経済連携協定(EPA)の加速など空白を自ら埋める努力が必要だ」

                   

【プロフィル】今村卓

 いまむら・たかし 1989年一橋大商卒、丸紅入社。91年日本経済研究センター出向、世界銀行出向を経て、2008年から米国会社ワシントン事務所長。17年10月丸紅経済研究所所長、19年4月から丸紅執行役員。富山県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus