海外情勢

年利100%超のケースも 米で高金利の中間層向けローンが台頭 (1/2ページ)

 リーマン・ショックから10年余りを経た今、米国のサブプライム市場で「インストールメント・ローン」と呼ばれる分割返済型ローンが右肩上がりに増えている。米大手個人信用情報機関のトランスユニオンによれば、優良客(プライム層)よりも下位のサブプライム層の借り入れ残高はおよそ500億ドル(約5兆4900億円)に達している。

 賃上げ進まず依存

 低所得者層を対象に給料を担保にした短期の小口ローン「ペイデイローン」が、年率換算で数百%と法外な金利への批判や当局の規制強化で下火になっていたところに、労働者層の資金ニーズの高まりに対応して消費者金融業界が代替商品として新たに編み出したのがインストールメント・ローンだ。世論や規制当局の逆風に見舞われることなく、インターネット金融など多くのペイデイローンの貸し手がインストールメント・ローンへと移行。ニッチな存在からわずか5年で業界を席巻する大きなうねりに成長した。

 ペイデイローンが貧困層に照準を合わせたのに対し、インストールメント・ローンは米国のあらゆる労働者層が対象だ。小口のペイデイローンは通常、数週間で一括返済されるが、インストールメント・ローンは100~1万ドル以上で、期間は4カ月から長いところでは2年半に及ぶ。金利は借入額や期間、借り手の信用度によるが、金額が大きくなれば3桁に達する。信用リスクの高いサブプライム層にネット金融サービスを提供するエノバ・インターナショナルのプラットフォーム「ネットクレジット」は、多くの州で年利34~155%を提示する。

 非営利の消費者支援団体、全米消費者法センター(NCLC)のシニアカウンシル、マルゴット・ソーンダース氏は「インストールメント・ローンは貸し手にとってはもうかる商品だが、借り手側のコストは計り知れない」と指摘する。

 金融危機以来、米国ではモノやサービスの価格が上昇したにもかかわらず労働者層の賃上げが進まず、数年で未払い債務が膨らんだ世帯は多い。米国勢調査局のデータでは、2018年までの10年間で、高卒世帯の平均収入はおよそ15%上昇、金額にしておよそ4万6000ドルに増えた。ただ、同期間に消費財やサービス全般の価格が20%弱上昇。中間所得層の支出の大半を占める住宅(26%上昇)や医療費(33%上昇)、大学の学費(45%上昇)と、主な項目の上昇率は収入の伸びを上回る。

 それでも生活維持のため米国民は多額を借り入れた。無担保の個人ローンや住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードローン、学生の債務は同期間にことごとく、上昇の一途をたどった。

 貸し倒れリスク大

 ネット金融が提供するインストールメント・ローンの人気上昇とビッグデータを活用した顧客のスクリーニング(ふるい分け)能力向上が相まって、サブプライムローンの貸し手の多くが事業を拡大している。

 ブルームバーグによると、エノバは12月までの5年間で年商が約11倍の7億8700万ドルに増えた。同業のエレベート・クレジットも同期間に46%増の11億ドルに達した。

 エノバとエレベートを合わせると、今年上半期にインストールメント・ローンの融資残高の平均12%を損金処理しており、貸し倒れ率はクレジットカード業界の3.6%を大きく上回る。

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