海外情勢

英総選挙で二大政党が支持取り付けに躍起 産業界は支持政党の選択に苦慮

 12月12日に行われる英総選挙を前に、二大政党の党首が産業界からの支持取り付けに躍起になっている。ただ、産業界はどちらが勝利しても望ましい結果は期待できないとして困惑を隠せない。

 英産業連盟(CBI)の総会が18日ロンドンで行われ、保守党党首のジョンソン首相と最大野党・労働党のコービン党首が演説で支持を訴えた。

 しかし、産業界幹部はどちらを支持するかでジレンマに陥っている。保守党の進める性急な欧州連合(EU)離脱も、労働党の社会主義も好ましくないからだ。

 EU離脱の是非を問う2016年の国民投票以降の3年に及ぶ政治停滞が経済の失速を招いたとして、企業の不満は蓄積している。半導体メーカー、IQEのフィル・スミス非常勤会長は「彼らは過去3年間、くだらない状況が続いていることへの羞恥で顔を伏せるべきだ。これが企業なら、ほとんどが即刻退陣しているはずだ」と憤りをあらわにする。

 産業界にとって今回の政権選択は難しい。保守党は伝統的に企業寄りだが、同党が勝利しEU離脱が確実になった場合、20年末の移行期間終了までに準備の時間が足りない。

 CBIのキャロライン・フェアバーン事務局長は、移行期間終了までにEUと新たな貿易協定を協議するには時間が足りないとの懸念を繰り返し、期間延長を嘆願したがジョンソン首相はこれを退けた。

 一方の労働党の経済政策も産業界には大きな心配の種だ。同党はサッチャー時代に民営化した企業の再国有化を掲げ、一部産業の国有化を含む資本主義の改革を約束している。

 保守政権以外の選択肢が労働党しかない状況の中、ジョンソン首相は産業界からの支持獲得で優位に立っている。同日のCBI総会で、来年4月に予定していた法人税を19%から17%に引き下げる計画を延期するという本来なら産業界から反発を招きかねない方針転換を発表した。法人減税の中止で浮く財源を国家医療制度(NHS)など有権者にとって重要度の高い問題に回すと説明し、産業界幹部に理解を求めた。

 ブルームバーグ・ニュースがCBI総会出席者16人に取材したところ、両党首のどちらか一人を強力に支持するという声はなかった。

 建設、廃棄物処理を手掛ける英オドノバン・ウエスト・ディスポーザルズの営業責任者リチャード・クラーク氏は、どちらかといえば保守党を支持するとした上で、「(国民投票の再実施を訴えている)コービン氏の方がまずいのは間違いない。われわれはEU離脱による社会の分断を修復する必要がある」と強調した。

(ブルームバーグ Joe Mayes)

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