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新興国も失速、減速する世界経済 極めて深刻との認識が必要 (1/2ページ)

 国際通貨基金(IMF)は10月15日発表の「世界経済見直し」で世界経済の2019年の成長率を3.0%と前回7月の予測(3.2%)から0.2%下方修正した。3.0%という数字はリーマン・ショックの起きた08年(3.0%)以来の低水準となっている。(青山学院大学特別招聘教授・榊原英資)

 新興国も失速

 先進国全体の伸び率は1.7%、米国2.4%、ユーロ圏1.2%。日本はユーロ圏よりさらに低く、0.9%という予測だ。新興・途上国も減速し、中国は6.1%、20年は6%を切って5.8%まで下がるとしている。

 1980年から2010年まで年平均10%に近い成長を達成してきた中国も、人口減少、高齢化の局面に入り、次第に成長率を落としてきているのだ。英国に本拠を置くコンサルティング・ファーム、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予測によると、16~50年までの年間平均成長率は3.4%とされている。

 他方、インドは比較的高い成長率を維持し、年平均4.8%の成長を達成するとの予測だ。こうした状況を反映して、PwCは、50年にはインドが国内総生産(GDP)で米国を抜いて中国に次いでナンバー2になるとしている。50年の購買力平価(PPP)ベースのGDPは中国がトップで58.5兆ドル、これにインドが44.1兆ドルで続き、ナンバー3の米国(34.1兆ドル)を抜くとしているのだ。

 PwCの予測によると、50年のGDPのナンバー4はインドネシア(10.5兆ドル)、ナンバー8は日本(6.8兆ドル)とされている。

 トップ8のうち4カ国がアジアの国々。いわゆる「リオリエント現象」だ。世界経済の中心が再びアジアに戻ってきている。アンガス・マディソンの試算によると、1820年には世界のGDPの29%が中国、16%がインドとされており、両国で世界のGDPのほぼ半分を占めていたのだった。

 保護主義が貿易直撃

 ただ、2019年はそのアジアの国々も減速。前述したように中国は6.1%、7~8%の高成長を続けてきたインドも6.1%まで減速するとしているのだ。

 世界経済成長率の低下の主因は世界貿易の鈍化。19年の世界貿易の成長率は1.1%の伸びにとどまるとされているのだ。世界貿易の鈍化の主因は米国をはじめとする主要国の保護主義的政策。米中貿易摩擦の展開などが世界貿易の伸び率を抑えているのだ。

 米中は閣僚級の貿易交渉などで一部の分野で合意しているものの、高い関税を上乗せし合っている状況は解消されていない。

 こうした状況を受けて、10月18日、米ワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催されたが(日本からは麻生太郎財務相、黒田東彦日銀総裁が出席)、参加国は「緊張感を共有」したものの、協調して具体的な政策を打ち出すことはできなかったのだった。

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