海外情勢

貿易交渉、「香港」で米中決裂の危機 デモ支持の人権法案可決が影 (1/2ページ)

 米中貿易交渉が決裂の危機に直面している。トランプ大統領は1カ月前に両国は部分合意に至ったと表明したが、中国による米農産品購入拡大や発動済みの追加関税の扱いなどをめぐる溝は埋まっていないほか、米議会が香港の民主化要求デモを支持する法案を可決したことで、中国が報復を示唆しているためだ。2020年の米大統領選の投票日まで1年を切る中で、トランプ氏は米中貿易交渉で部分合意という初の成果を得るか、それとも決裂に至るかの“分かれ目”に立たされている。

 成立なら真っ向衝突

 両国の貿易交渉担当者らは重要分野で前進しているものの、第1段階の合意署名に向けた詰めの協議の調整が長引いている。12月15日までに合意に至らない場合、1600億ドル(約17兆3300億円)相当の中国製品への上乗せ関税が発動される公算が大きい。ロイター通信は20日、米中両政府が第1段階合意を、来年に先送りする可能性があると報じた。

 協議に暗い影を落としているのは香港情勢の緊迫化と、香港人権法案への大統領の署名を目指す米議会の動きだ。19日の米上院による全会一致の可決に続き、下院本会議も20日、圧倒的多数で可決した。関係者によると、トランプ大統領は同法案に署名する見通しで、成立すれば報復を明言している中国と真っ向から衝突することになる。

 関係者らは両国の交渉担当者がこれまでのところ、香港などの問題によって妨げられずに協議を続けていると指摘する。しかし、最大の懸念は同法案によって米中貿易交渉が頓挫することだ。国務院顧問で北京のシンクタンク全球化智庫の創設者、王輝耀氏は「香港人権法案は貿易合意の見通しに大きな打撃となる。中国側が前向きに取り組まなくなり、交渉プロセスが停滞する」と懸念する。

 トランプ氏が来年の大統領選で勝つには、接戦州の農産物を中国が大量に購入する必要がある。ただ同氏が要求する年間500億ドル相当の米国産農産物の購入に中国側が難色を示す一因は、その要求の到達が難しい点にある。このため、中国当局者は市場に基づき、世界貿易機関(WTO)の規則に準拠すべきだと主張し続けている。

 トランプ氏は公然と中国へ圧力をかけ続ける姿勢を崩していない。20日には記者団に対し、「中国は自分以上に取引を望んでいる。ただ私の望む水準に近づいているとは思わない」と不満を漏らした。

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