視点

COP漂流 「パリ協定」の運用開始を目前に (1/2ページ)

 振り返ると、今年も地球の気候は大荒れの1年だった。

 1月中旬からカナダと米国は大寒波に見舞われ、同月末にはミネソタ州パークラピッズでは氷点下41度を記録。米中西部など広い地域で数十年ぶりの寒さとなった。

 トランプ米大統領が「地球温暖化は、どうしたんだ。早く戻って来てくれ、君が必要なんだ!」とツイッターで皮肉を交えて発信したほどの冷え込みだった。

 逆に7月の欧州では熱波が猛威を振るった。ドイツ、ベルギー、オランダで国内最高気温を更新し、パリでは同月25日に42.6度に達して、1947年の40.4度の記録を72年ぶりに塗り替えた。

 日本では関東甲信の梅雨明けが昨年より30日も遅い7月29日になり、東京などでは記録的な日照不足が続いたが、梅雨が明けると一転、猛烈な暑さになって熱中症患者が多発した。

 秋には関東地方などでの台風被害が相次いだ。9月の15号は千葉県を中心に多数の住宅被害をもたらした。10月に襲来した19号は関東甲信、東北地方の広い範囲に大雨を降らせ、約70河川で堤防が決壊するなどして100人以上の犠牲者を出した。

 このほか世界ではインドの熱波、オーストラリアの異常少雨といった自然災害も起きている。

 こうした気候変動が目立つ中で、地球温暖化防止の新たな国際的取り組み「パリ協定」が来年から、実運用に入る。

 だが運用開始が目前に迫っているにもかかわらず、機運の盛り上がりは乏しい。

 パリ協定の実施細目などを詰める今年の国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)も、開催国が急遽(きゅうきょ)変更されるという憂き目に遭っている。予定国のチリの政情不安で、11月にスペインのマドリードへの変更になったのだ。

 昨年12月の時点ではCOP25の開催国としてブラジルが有力視されていたので、COPの世界漂流が始まった感がある。

 COPには加盟各国の首脳や閣僚、政府職員をはじめ、環境団体の関係者など通常2万人前後が参加するので、2週間にわたる会期中の大会議場の設営だけでなく、ホテルの確保も大変なのだ。

 この点、国の指導力が強い中国ならCOP25の誘致も可能。世界の途上国を束ねる立場で影響力を増大させることができたはずだが、なぜか名乗りを上げなかった。

 その理由を事情通に尋ねると、冬の中国は暖房による大気汚染が猛烈で二酸化炭素の排出削減を論じる環境会議の場として最も不適であるから、ということだった。

 京都議定書に代わるパリ協定は、2015年のCOP21で採択され、翌年11月にスピード発効した温暖化防止の枠組みだ。

 当時のオバマ米大統領と中国の習近平国家主席が歩み寄って、二酸化炭素の2大排出国の取り組みへの参加が決まり、先進国と途上国の区別も取り払われた。採択と発効時に、世界は脱炭素社会の実現に向けての高揚感に包まれたものだった。

 今年11月、米国から国連に対してパリ協定離脱の正式通告が行われたが、これをトランプ氏の科学的教養不足のせいとのみ、みなすのは正しくない。

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