海外情勢

台湾、親中派の最大野党混迷 比例名簿めぐり党内で不満渦巻く

 台湾総統選を来年1月11日に控え、親中路線の最大野党、国民党が混迷している。総統選で苦戦が続く中、同時実施の立法委員(国会議員)選の比例名簿をめぐって呉敦義党主席(党首)らに対する激しい批判が噴出。団結にほど遠い実情に党内の不満は強く、早くも「敗北後の大混乱」を懸念する声が漏れ始めた。

 呉氏は当初、自身を比例区で「当選確実」な名簿上位に充てようとして「身勝手」と批判を浴びた。さらに上位に親中派の代表格とされる元軍人や、催涙弾などでデモ隊を制圧する香港警察にエールを送る元大学教授を載せた。若手候補が少ないことなどもあり党の総統候補、韓国瑜(ゆ)・高雄市長が「民衆の期待と落差がある」と発言、他の幹部からも批判が相次いだ。

 「反中」意識が高まっている世論も敏感に反応。最新の複数の世論調査では総統選をめぐり台湾独立志向の与党、民主進歩党(民進党)の蔡英文総統が韓氏を20ポイント以上引き離した上、政党別支持率でも民進党が国民党に明確に優位になった。

 韓氏と国民党幹部のぎくしゃく感には出自も絡む。韓氏は昨年11月の統一選で、巧みな弁舌と庶民派を売りにブームを巻き起こして党全体の勝利に貢献。勢いに乗って今年7月の党内予備選も勝ち上がった。だが党の伝統的なエリート幹部ら主流派は、党の下級軍人家庭出身の韓氏を「アウトサイダー」(地元紙記者)と見なして距離を置く。韓氏の熱烈な支持層もこうした主流派に反感を抱いている。

 国民党寄りの大学教授は「党改革が絶対に必要で、前提は呉氏ら『古い世代』の退陣だ」と指摘。大敗した場合は「分裂の危機」すらあり得るとの見方を示した。(台北 共同)

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