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農産品輸出拡大へ基盤強化 政府、重点施策を決定

 政府は10日「農林水産業・地域の活力創造本部」の会合を首相官邸で開き、農業政策の重点事項をまとめた「農業生産基盤強化プログラム」を決定した。和牛の増産やブランド保護など、農林水産物・食品の輸出拡大に向けた取り組みが柱。日米貿易協定や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など農産物貿易をめぐる国際環境の変化や相次ぐ自然災害に対応する。

 新たな強化プログラムに関連する予算は2019年度補正予算と20年度当初予算で確保し、切れ目のない対策を講じる。

 海外で需要が高まる和牛の増産対策では、繁殖雌牛の導入に奨励金を交付し、和牛の生産量を18年の約14万9000トンから、35年度までに30万トンに倍増させる目標を掲げた。乳用雌牛の導入については、生乳の生産が減少傾向にある都府県で奨励金を交付する。欧米の食品安全衛生基準に即した食肉処理施設の整備を図る。

 ブドウの「シャインマスカット」やイチゴの「あまおう」などブランド力の高い新品種や和牛の受精卵が海外に不正に持ち出されるのを防ぐため、来年の国会に関連法案を提出する。

 会合に出席した安倍晋三首相は、農林水産物・食品の輸出額が6年連続で増加したことに触れ「安全・安心な日本の農産物が世界に羽ばたくチャンスは、今後ますます広がる」と強調した。

 自然災害に対応するため、農業用ハウスの強靱(きょうじん)化や収入保険の利用を推進する。

 国内で流行している豚コレラ(CSF)の対策として、豚への円滑なワクチン接種や、ウイルスを運ぶ野生イノシシの捕獲強化なども新プログラムに盛り込まれる。

 農薬散布にドローンを活用するなど、作業の省力化を目指す「スマート農業」の実証地域として、条件が不利な中山間地域や被災地の優先枠を設定する。

 水田農業では、国内でコメの消費が減っていることから、高収益が期待できる園芸作物や、需要が伸びている麦や大豆への転換を後押しする。

【用語解説】農林水産物・食品の輸出

 安倍政権が掲げる成長戦略の柱の一つ。和食ブームや健康志向の高まりを受け、輸出額は年々増加している。2012年に4497億円だった実績は、18年に9068億円と過去最高を更新した。来年4月には、輸出拡大の司令塔組織を農林水産省に新しく設置し、東京電力福島第1原発事故に伴う輸入規制などの撤廃に向けた交渉や、衛生審査など複数省庁にまたがる業務を担う。

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