海外情勢

「富裕層の敵」英労働党のコービン党首 勝利なら「合意なき離脱」超す混乱か (1/2ページ)

 【欧州を読む】12日に迫る英総選挙では、ボリス・ジョンソン首相(55)率いる与党・保守党が過半数を獲得し、来年1月末までの欧州連合(EU)離脱を実現できるかどうかが焦点となる。ジョンソン氏の「最大のライバル」になるのが、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首(70)。「筋金入りの社会主義者」「富裕層の敵」…。さまざまな異名を持つコービン氏はどのような男なのか。(ロンドン 板東和正)

 個性と個性の戦い

 「ジョンソン氏と同じくクセが強い男だ」

 ロンドンに住む有権者の男性(35)は、コービン氏をそう評する。

 英南部チッペナム出身のコービン氏は、大学を中退後、労働組合勤務などを経て1983年に下院議員に当選した。英国では高学歴の議員が多い中、「異色の存在」だ。 

 よれよれのジャケットにノーネクタイがトレードマーク。きまじめで「最も経費を使わない国会議員」とも評され、バスに乗って帰宅する姿が度々、市民に目撃されている。

 常に労働者の味方であり続け、反戦や反核の主張を貫いてきた。2003年、ブッシュ(息子)米政権の主導でイラク戦争が始まり、労働党のブレア政権が参戦を決めた際は、同党所属にも関わらず、党の方針に何度も反発した。

 労働党党首に選出された15年9月の党首選では、当初は有力候補とみなされていなかった。しかし、低所得者を中心にコービン氏の庶民的な姿に賛同する有権者が徐々に増え、党内でも支持を伸ばした。 

 一方、今回の総選挙で対峙する保守党のジョンソン氏は、名門中等教育機関イートン校からオックスフォード大に進学した。ボサボサの金髪で身なりに構わない型破りな政治家ながら、れっきとしたエリートだ。冗談を交えた演説に定評があり、労働党の地盤とされるロンドンの市長を2期連続で務めた。

 英政府関係者は「有権者の高い支持と強い個性という面で、コービン氏とジョンソンは良い勝負だろう」と指摘する。

 庶民に寄り添うセンス

 英調査会社「ユーガブ」によると、3日時点の保守党の支持率は42%で首位。後を追う労働党は9ポイント低い33%で、3位の野党・自由民主党に21ポイントの差をつけている。今回の総選挙は、保守党と労働党の「二大政党」の争いになるとみられている。

 総選挙の最大の争点はEU離脱だが、医療や低所得者への公共サービスといった福祉分野に強い関心を寄せる有権者も目立つ。

 労働党は総選挙で、英国の国民保健サービスNHSの支出拡大や、ブロードバンド網の無料提供などを主張。「バラマキ」ともいえる公約で、保守党の獲得議席数にどこまで迫るのかが注目されている。中でも、ブロードバンド網を無料提供するとの公約は若年層の支持を集めており、「労働党の支持率上昇に貢献する可能性がある」(有権者)ともみられている。

 この公約のアイデアを出したのが、鉄道や電力会社の再国有化を訴えてきたコービン氏といわれている。

 英国の家庭でブロードバンド網の導入には月額30ポンド(約4200円)ほどかかり、貧困者にとっては重い負担だ。コービン氏は公約で、英通信大手の一部事業を国有化することで、10年以内にブロードバンド網を市民に無料で届けることを約束した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus