海外情勢

PPI大幅低下、世界の“デフレ工場”中国 過剰供給のツケが再び拡散か

 中国の工場が世界中の物価を再び押し下げようとしている。ほぼ30年ぶりの低成長とエネルギー価格の下落で中国の生産者物価指数(PPI)は7~10月まで4カ月連続で前年の水準を割り込み、10月の下げ幅は2016年以来で最大となった。海外の消費者にとって中国製品が安くなるのは朗報だが、世界各地の企業が利益を上げるために中国勢に対抗しなければならない。世界中で物価が下落し続ける事態を招く危険もはらんでおり、米中貿易戦争の緊張が一段と高まる可能性もある。

 対米戦争で投資まひ

 英ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン、ジョアナ・フレイレ両氏は「インフレは中国発のディスインフレ(物価の上昇率が低下していく状況)の波に左右される」と指摘、最近の中国PPIの落ち込みが欧米のインフレ率を下押しすると予想する。

 また、メイバンク・キムエン・リサーチのチュア・ハクビン氏(シンガポール在勤)は「米中貿易戦争は世界の設備投資をまひさせ、大規模なデフレショックをもたらしている」と警鐘を鳴らす。チュア氏は米国の関税発動で中国の過剰生産能力と過剰供給のつけが第三国へ回り、デフレ圧力を感じる企業、国々がもっと増える公算が大きいと予想する。

 こうしたデフレリスクは、世界経済における中国の役割が大きくなっていることや、中国が多くの産業で価格を設定する存在になっていることを物語っている。18年時点で世界の貿易全体に占める中国の割合は単一国家として最大の12%にも上る。

 14~16年と同様に中国からの安価な製品流入で、各国・地域の中央銀行による持続的なインフレ率の押し上げは一段と難しくなる。日本やドイツ、米国の消費者物価はかねて、各国・地域に中銀が設定する年率2%近辺のインフレ目標を下回っており、輸入物価とPPIのさらなる低下で中銀の目標達成は一段と難しくなるばかりだ。目標水準に向けた物価上昇を目指す中銀に新たな課題を突きつけている。

 関税分の値引き響く

 PPIの低下に加え、中国企業が追加関税分の値引きを行っていることが米国向け輸出製品の価格に影響を及ぼす可能性もある。また、人民元の対ドルでの下落が輸出物価の低下をもたらしており、多くの国々の企業にとって中国製品は割安になっている。

 とはいえ、マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・シャウル最高経営責任者(CEO)は、今の中国PPIの低下のほとんどがエネルギーと1次産品の価格低下によるもので、エネルギー価格が落ち着けば中国PPIはニュートラル(プラスマイナスゼロ)になりそうだと話す。

 複数のエコノミストは10~12月期にPPIが底入れし、その後わずかに持ち直すと予想している。(ブルームバーグ James Mayger、Miao Han)

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