海外情勢

北ミサイル試射黙認は裏目か 協議の裏で技術向上、米への脅威増大

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が米本土全域を射程圏内に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射を決行し、核兵器プログラムの「完了」を宣言するとともに、ICBM試射を全面停止してから約2年が経過した。この間に金委員長は米国にとってさらに大きな脅威となった。

 ICBMの試射停止をきっかけに、金委員長とトランプ米大統領の歴史的な会談が3回実現したものの、金委員長は並行して核分裂性物質の大量生産や、新たなミサイル技術の開発を推し進めた。このため、今後のICBM発射は米国防総省の軍事計画担当者にとって一段と大きな懸念材料となりかねない。

 この数カ月で実施した一連の短距離ミサイル試射により、北朝鮮の固体燃料型弾道ミサイルの製造能力は向上した。固体燃料型ミサイルは、多くの液体燃料型ミサイルより移動や発射、隠匿が容易だ。これから推測されるのは、金委員長が固体燃料推進技術を採用したICBMの開発を目指す公算が大きくなっており、米本土を不意打ちする能力を得る可能性があるということだ。

 日本などが国連安保理決議違反だと主張している北朝鮮のミサイル試射について、トランプ大統領は問題視しない姿勢を示してきた。こうした姿勢は、ICBMを試射しない限り、兵器プログラムの開発を継続しても構わないと北朝鮮に受け取られかねない。

 金委員長が米側に制裁などの「敵視政策」の再考を促す期限とした年末が近づく中、金委員長はトランプ大統領が制裁などを見直さなければ「新たな道」を歩むと警告しており、大統領のミサイル試射「黙認」が裏目に出る可能性がある。

 米国務省で朝鮮半島問題に取り組んだ元外交官のミンタロウ・オバ氏は「北朝鮮は米国側に切迫感を持たせることが有効な交渉戦術であることに気付いた。今は圧力を強め、2020年に事態は悪化するとほのめかすことで、米政府から最大限の譲歩を引き出せると考えている」と分析した。(ブルームバーグ Jon Herskovitz)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus