海外情勢

米食肉産業、汚名返上に躍起 飼料技術の進化で排ガス削減を急ぐ

 「温室効果ガスを大量に排出している」との批判の矢面に立たされている米国の食肉産業がその汚名返上に躍起となっている。

 代替品トレンド対抗

 米食肉加工大手のタイソンやカーギルなどは自社の供給網も含めた温室効果ガス排出量の大幅削減を誓約し、経営幹部にサステナビリティー責任者を就けるほか、ソーシャルメディアへの広告で牛肉による健康上の利点を訴える。

 米国では反肉食がトレンドとなり、植物性食品を主体に時には肉も食べる「フレキシタリアン」が増加の一途をたどる。こうした流れから米ビヨンド・ミートなどの代替肉製品がTGIフライデーズなど全米展開するレストランチェーンのメニューに上がる。さらに、さまざまな牛乳代替飲料も登場し、短期間で牛乳の市場を侵食し、13%のシェアに達した。11月には米乳製品大手ディーン・フーズが破産申請した。

 食肉産業の環境に対する懸念としては、家畜が食物を消化する際に排出するメタンガスが第一に上がる。米食肉産業が出資する政府研究の結果、人為的な温室効果ガスのうち約3%を米国牛肉産業が占める。食肉生産大手のJBSの環境担当責任者、キム・スタックハウス氏は「この3%を責任をもって削減する」という。同社は米国とカナダの事業で排出する温室効果ガスを2020年までに15年の排出量から20%削減する目標を掲げる。

 農場との連携が鍵

 食肉産業のこうした取り組みに、飼育と配合飼料に関する技術が追い風になる可能性がある。カリフォルニア大学デービス校動物科学部のエルミアス・ケブリーブ教授は「家畜が排出するメタンガスを大幅に削減する飼料用添加物に期待が集まっており、今後5年間で排出量の大幅削減が可能だ」という。

 また、カーギルの動物栄養部門責任者のヘザー・タンゼイ氏は「放牧管理や排泄(はいせつ)物にカバーをかぶせるなど環境再生型農業の実践も有効だ」と話す。

 ただ、食肉産業は加工業者と農場との間に直接縦のつながりがなく、一貫した対策が難しい。タイソンは供給先の各農場にトレーサビリティー(履歴管理)を導入し、30年までに供給網を含む全事業で30%の温室効果ガス削減を狙う。

 牛肉消費は依然として旺盛で、世界的にも消費量は増加傾向にある。INGホールセールバンキングで世界の食糧・アグリビジネス部門を統括するデボラ・パーキンス氏は「代替肉産業の成長は今後も続くが、完全に本物の肉に取って代わることはない」と指摘する。(ブルームバーグ Lydia Mulvany、Isis Almeida)

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