海外情勢

イラン、対米譲歩の姿勢なく…核合意崩壊の恐れも 大統領訪日

 【カイロ=佐藤貴生】イランのロウハニ大統領は20日、トランプ米大統領ともパイプがある安倍晋三首相との会談で、対米関係の改善に向けて仲介を要請する見通しだ。欧州の調停努力が停滞する中で日本に期待を寄せた格好だが、イランには米国に譲歩してまで対立を解消する姿勢はみられず、大きな進展は望めないのが実情だ。

 経済悪化が続くイランでは11月、ガソリンの値上げを端緒に革命以来の40年で最大ともいわれる反政府デモが起き、政府は武力で鎮圧したもよう。トランプ政権が2015年の核合意を離脱し、再開した制裁が効果を挙げている形だ。

 ロウハニ師は会談で、多国間の取り決めから一方的に離脱した米政権の不当性を訴え、制裁緩和など米側への要求を伝えるよう依頼するとみられる。

 核合意当事国のフランスは8月、米・イラン首脳会談の実現に意欲を見せたほか、9月には原油を担保とする150億ドル(約1兆6千億円)の金融支援をイラン側に提示し、引き換えに核合意や地域の安全に関する対話を求めた。だが、進展を伝える報道は見られない。

 イランにすれば、核合意に加わる英独仏は合意に盛り込まれた原油や金融の取引を維持しておらず、一方的に合意の順守を求めるのは不公平だ-との思いがある。このため、来年も合意の履行停止をエスカレートさせる公算が大きい。

 イランは11月、履行停止の「第4段階」として中部フォルドゥの地下核施設でのウラン濃縮を再開。濃縮作業を加速できる遠心分離機も増強した。国際原子力機関(IAEA)は同月、イラン国内の未申告の場所でウラン粒子を検出したと発表した。

 ウランは90%の高濃度に達すれば核兵器転用が可能となる。イランが現在は5%前後と原発燃料レベルにとどまっているウランの濃縮度を上げたり、IAEAの査察を拒否したりすれば、欧州でも非難が強まるのは確実だ。イラン核合意が来年、崩壊の危機に直面する恐れも排除できない。

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