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沖縄県が容認の那覇軍港を菅官房長官が視察 辺野古と同じ埋め立てなのに…

 沖縄県を訪問した菅義偉(すが・よしひで)官房長官は22日、那覇市の米軍那覇港湾施設(那覇軍港)と移設先の米軍牧港補給地区(浦添市)沿岸を視察した。玉城デニー知事は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する一方、埋め立てを伴う那覇軍港移設には協力する姿勢を示している。菅氏が那覇軍港を視察したのは、玉城氏の矛盾をあぶり出す狙いも透けてみえる。

 菅氏は22日午前、浦添市の商業施設屋上から松本哲治市長とともに、那覇軍港の移設が予定されている海域を視察。午後には陸上自衛隊那覇駐屯地を訪れ、那覇軍港の説明を受けた。

 「返還後には沖縄県経済の起爆剤として、高いポテンシャルを持っている」

 那覇軍港を視察後、菅氏は記者団にこう強調した。那覇軍港は空港や市街地に近く、返還されれば経済効果は大きい。玉城氏も、経済効果を考慮すれば浦添市での埋め立てはやむを得ないとの認識を示している。

 那覇軍港は、沖縄の本土復帰直後の昭和49年に日米両政府が返還に合意し、平成7年には移設先を浦添市と決定した。県と市の間で具体的な移設計画をめぐる調整が難航していたが、今年10月に那覇市を加えた3者で調整検討会議を設置することで合意。来年度には具体的な移設計画が策定される見通しだ。

 県は那覇軍港移設について、浦添市に建設するのは「新基地」ではなく「代替施設」であり、「県内移設」ではなく「那覇港湾区域内の移動」として、辺野古移設とは異なると主張している。しかし、玉城氏を支援する共産党や社民党の理解は得られていない。社民党などは移設見直しを繰り返し求めている。このため、那覇軍港移設は玉城氏の支持基盤を揺るがしかねないアキレス腱(けん)でもある。

 菅氏が浦添市長を伴って移設先を視察したのは、玉城氏に協議加速を促す狙いもある。菅氏は22日、記者団に移設先を視察したことを明らかにした上で「早期に結論が得られるよう、政府としても必要な支援をしっかりと行っていきたい」と述べた。(杉本康士)

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