国内

来年は中国にECBも!? デジタル通貨戦争が現実味、主導権はどこが握る

 【ロンドン=板東和正】デジタル通貨をめぐる中央銀行の覇権争いが激しさを増している。中国人民銀行(中央銀行)が計画する「デジタル人民元」が欧米主導の国際金融秩序を揺さぶる可能性をはらむ中、欧州中央銀行(ECB)もデジタル通貨の発行を検討。デジタル通貨で主導権を握るのは、どの中銀なのか注目されている。

 「ECBが他の中銀に先駆けて、デジタル通貨を発行したいなら早急に動く必要がある」

 ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は4日、そう指摘した。

 ECBはデジタル通貨の発行計画で、キャッシュレス化が進む中国やスウェーデンに先を越されることを懸念し、焦りを見せ始めている。11月にECB総裁に就任したラガルド氏も今月12日、デジタル通貨について「既に作業部会を立ち上げており、取り組みを加速させる」と強調した。

 欧米が警戒するのが、デジタル人民元の存在だ。デジタル人民元が発行されれば、巨大経済圏構想「一帯一路」の推進とともに、中国内だけでなく、中央アジアや欧州でも流通が進むことが予想される。中国は、デジタル人民元の発行・流通でドル覇権に対抗する姿勢を示しており、政府系シンクタンク、中国国際経済交流センターの幹部が10月、「人民銀が、世界で初めてデジタル通貨を発行する中銀になる可能性がある」と自信を見せた。

 ECBや人民銀がデジタル通貨の発行を検討するきっかけになったのは、米フェイスブックが計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」への警戒感が高まったためだ。公的機関によるデジタル通貨発行で、規制を強化する狙いがあった。しかし、各国の規制当局が懸念を強めたことでリブラ計画は難航。専門家は「デジタル通貨の発行をめぐる議論は、今やリブラの規制問題から中銀同士の競争へと変貌した」と指摘する。

 一方、日米はデジタル通貨の発行に慎重な姿勢だ。 米メディアによると、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11月、書簡でデジタル通貨の発行を計画していないとの見解を示した。日本銀行の雨宮正佳副総裁も7月、発行計画がないことを明らかにした。

 デジタル通貨をめぐっては、サイバー攻撃で盗み取られる危険性や利用者のプライバシー侵害といった課題も指摘されており、実現に否定的な意見も目立っている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus