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今年の中国流行語ランキング 比べてみると面白い

 今年も残りわずかとなり、中国でもこの1年間に話題となった新語・流行語ランキングが研究機関やメディア各社から発表されている。中でも「国家言語資源観測研究センター」の発表するランキングがよく知られている。しかも2種類の違ったランキングを出しているので、比べてみると面白い。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 一つは「中国メディア10大流行語」である。主要な新聞やテレビから選んでいるせいか、現政権の政策にからんだ言葉がずらりと並んでいる。

 トップは「我和我的祖国(私とわが祖国)」だ。中国の成立70周年を記念した映画の題名である。陳凱歌(チェン・カイコー)氏が総監督となり、新中国成立から70年間の7つの歴史的瞬間を題材とした。建国式典の前夜に国旗を無事に掲揚するため一分一秒を争った作業員とか、初の原子爆弾実験成功の裏側で人知れず青春をささげた科学研究者など、主役はいずれも一般の市民だったこともあり、大いに話題を集めた。

 これに次ぐのが「金色十年」「学習強国」である。「金色十年」とは、ブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国(BRICs)が首脳会議を定期的に開催し始めてから10年がたち(2011年から南アフリカも参加)、輝かしい成果を上げてきたことを表している。

 「学習強国」は、党中央宣伝部が作成したアプリである。中国ではメディアの記者や編集者を対象に、習近平国家主席の政治思想に関する試験を受けることが義務付けられている。記者や編集者は、このアプリを使って事前の準備をする。受からなければ記者証を取り上げられてしまうので、真剣に学ばざるを得ない。

 同センターが出しているもう一つのランキングは、「2019年10大インターネット用語」である。ネットから拾った流行語なだけに、より一般市民の感覚に近い。

 例えば、「道路千万条、安全第一条(道路はたくさんあるが、最も大切なのは安全だ)」。映画「流浪地球(ザ・ワンダリング・アース)」にしばしば登場して流行語になった。中国では自動車の所有台数の増加に伴い、交通事故の数も増えている。安全第一と叫ばざるを得ない。

 高度経済成長への反省から生まれてきた言葉もある。日本から伝わった「断捨離」は、中国でも同じ意味で使われている。このほか、他人への嫉妬心を表した「檸檬精」とか、自嘲を意味する「我酸了」とかは、生活が豊かになった半面、心に何か満たされないものがあることを示している。

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