海外情勢

産業CO2削減の救世主「グリーン水素」 欧州で大手各社が開発にしのぎ削る (1/2ページ)

 スペインで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)では地球温暖化防止の新たな枠組み「パリ協定」の具体的ルール作りが見送られたが、欧州では環境問題をめぐる株主や政治家の圧力の高まりを背景に産業部門で新たなクリーンエネルギーが注目を集めている。水を電気分解して作る「グリーン水素」だ。待ったなしの対応を迫られている産業界の期待を背景にエネルギー大手各社が開発にしのぎを削っている。

 既に商業ベース生産

 産業によっては1000度もの超高温の熱エネルギーが必要となるケースもある。その例が製鋼や石油精製などの重工業だ。重工業での熱処理は自動車から医薬品に至るあらゆる製品の出発点だが、超高温の熱を作り出すために二酸化炭素(CO2)排出割合の高い化石燃料を多用している。

 世界全体のCO2排出量に占める産業部門の割合は約20%を占め、自動車と飛行機の排出量の合計をも上回る。

 環境活動家や企業の株主、政治家がメーカー各社にCO2の削減対策で圧力を強めていることを背景に、グリーン水素の技術開発の動きが加速している。

 ドイツ北東部ファルケンハーゲンで再生可能エネルギー由来の電気で水素とメタンを製造するプロジェクトを推進しているカールスルーエ工科大学のトーマス・コルフ教授はグリーン水素について「これは魔法ではない。問題はどのように事業を拡張していくかだ」と話す。

 グリーン水素をめぐる開発競争はすでに始まっている。ファルケンハーゲンで風力電源を使った水素の生成に成功した独エネルギー大手ユニパーや仏産業ガス大手エア・リキードなどは小規模なプラントでの試験運用を経て、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油大手と提携し、既に商業ベースでの生産にシフトしている。

 エネルギーの大口需要家である鉄鋼業界ではドイツの大手ティッセンクルップが11月、デュースブルク製鉄所で水素を利用した製鉄の実証実験を始めた。

 ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムは「メタンの熱分解」で水素を製造する技術をシベリアのトムスクで試験中だ。同技術によって製造された水素は重工業用のクリーンな燃料として使用される可能性がある。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus