海外情勢

超低金利、危険な投資に警鐘 世界の中銀、緩和余儀なきジレンマ

 低金利政策が投資家にリスクの高い行動を奨励しているとして、その政策を講じた世界の中央銀行は不安な思いで年末を迎えつつある。

 欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度などが、超低コストの資金を経済に大量注入する政策が引き起こした危険な投資行動に警鐘を鳴らした。米国やインドで株価指数が最高値を更新するとともに、ソブリン債利回りの低下で資金はより良いリターンを求めて不動産に流れ込んでいる。

 中銀はパニックのシグナルを送らないように抑制の効いた表現を用いている。だが、複数の中銀のコメントからは、安易に政策を引き締めることもできないという困惑を伴う不安の高まりがうかがわれる。危険なのは、約10年前に金融危機が表面化する前と似たような背景をこのようなリスクテークが作り出すことだ。

 UBSグループのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は11月半ばに北京で開催されたニューエコノミー・フォーラムに際して、「市場は油断しているようだが、これは恐らく低金利やマイナス金利の結果だ」とブルームバーグ・テレビに語った。「いつか、つじつまが合わなくなる確率は高まっている」と続けた。

 中銀は低金利の副作用を気にしながらも、警鐘を鳴らす以上の行動に出る兆しは見られない。むしろ何とかインフレを促そうと、今年に入って新たな金融緩和を打ち出している。

 その結果はソブリン債利回りの低下だ。プラスのリターンを提供する数少ない国に投資資金が向かう中、欧州では高リスクとされるイタリア国債ですら、10年物利回りが1%強にすぎない。

 資金が不動産に流れる中、スイスの銀行は住宅投資のための借り入れ基準を強化。他の多くの国でも同様の懸念があり、ブルームバーグ・エコノミクスが今年分析したところによれば、カナダとニュージーランドの不動産市場が最もこうした調整の影響を受けやすい。(ブルームバーグ Craig Stirling、John Ainger)

 中銀が発信した主なメッセージ

 ▽米連邦準備制度理事会(FRB)

 低金利に関連する脆弱(ぜいじゃく)性は高まる可能性があり、警戒と継続的 な監視が必要だ。これまでのところ、金融システムには弾力性 があるようだ

 ▽欧州中央銀行(ECB)

 非常に低い金利と、債券ポートフォリオのデュレーションを徐 々に延ばしている投資家の数の多さは、急激なリプライシング が起こった場合に被り得る損失を増幅させる可能性がある

 ▽スウェーデン中銀

 この種の環境は、リスクテークの増加や資産の過大評価、持続 不可能な形での債務膨張につながり得る

 ▽ドイツ連邦銀行

 多くの投資家が利回り追求に邁進(まいしん)し、より大きなリスクテーク へと誘われる可能性がある

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