海外情勢

韓国、文氏公約が成長の重し 不動産価格抑制策で建設投資縮小

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2017年の大統領選で公約した「住宅価格の高騰の抑制」が経済成長の足かせとなっている。不動産価格の安定を目指す政策が意図せず経済の鈍化を招いた。建設投資が縮小し、経済への悪影響は輸出の縮小を上回る。エコノミストは20年も建設部門が経済成長の最大の重しになると予測している。

 韓国銀行(中央銀行)が12月3日に発表した改訂データによると、19年7~9月期の経済成長率は前期比0.4%増。成長率に対する建設投資の寄与率はマイナス0.9ポイントと、最終需要の部門別項目で最大の重しとなった。

 文大統領は、(1)汚職の取り締まり(2)最低賃金の上昇や住宅価格の急激な上昇に歯止めをかけることで格差を是正する-など、大衆に訴える公約を掲げた。不動産市場での投機の沈静化と価格の安定を目指し、融資規則の厳格化や高額不動産に対する固定資産税の増額を含む10以上の対策を導入してきた。

 KBフィナンシャルグループの集計によると、家計債務の増加率は11四半期連続で縮小。韓国全土の平均マンション価格の上昇率は文政権発足後の2年半で3.5%に抑制されるなど一定の効果を上げた。

 この一方で、ソウル市江南区などの高級住宅地では効果はなく、同期のマンション価格は20%以上、上昇した。これに対応し政府は11月に「分譲価格上限制」をソウルの一部民間マンションに導入した。同制度は建設会社の建設用地取得と建設費、その他の経費を基準に販売価格の上限を設定するものだ。

 同月、文大統領はテレビ番組で「政府は不動産市場を経済成長の牽引(けんいん)役として利用することはない」と語り、これまで以上に不動産価格の抑制に力を入れると表明した。

 ただ、建設部門は韓国GDPの約15%を占め、こうした政策による建設投資縮小の経済全般への打撃は深刻だ。韓国建設産業研究院によると、建設部門への投資の落ち込みは20年の経済成長率を0.36ポイント押し下げ、7万2000人の雇用縮小につながる。韓国銀は11月末に20年の成長率見通しを下方修正し、建設投資は21年まで縮小を続けるとの見通しを発表した。同中銀と、エコノミストの多くが、20年には輸出を含むほとんどの部門で成長が回復するにもかかわらず、建設投資はさらに縮小するとの見方で一致している。

 政府方針の負の影響を指摘する声は高まっており、韓国メリッツ証券のエコノミスト、ステファン・リー氏は「マンション販売が最高を記録した15年以後、不動産市場は調整局面に向かっていた。政府の規制により回復に遅れが出ている」と指摘。また韓国の現代研究所のフェロー、ホン・ジュンピョ氏は「来年も建設部門は経済成長の最大の重しとなる。政府が方針を変えず、現行の不動産市場の規制を維持すれば、建設部門の回復は21年も期待できない」と話した。(ブルームバーグ Jiyeun Lee、Jaehyun Eom)

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