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日米貿易協定、1月1日発効 食品値下げ、輸出に追い風 自動車関税撤廃が課題

 日米貿易協定が来年1月1日に発効する。日本は米国産牛肉などの関税を環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)水準まで引き下げる一方、米国はエアコン部品などの関税を撤廃する。食品の値下げを通じ消費者に恩恵となるほか、企業の輸出にも追い風となる。日米協定により経済連携協定(EPA)など日本の貿易協定カバー率は5割を超える。ただ、米国がTPPで離脱前に認めていた自動車関税の撤廃は先送りされ、今後の交渉の課題となる。

 「日本経済が成長を続けるための強固な基盤を築き上げることができた」。安倍晋三首相は12月9日、日米貿易協定が承認された臨時国会の閉幕を受けた記者会見でこう強調した。

 日本は米国産牛肉の関税を現行の38・5%から段階的に引き下げ最終的に9%とするほか、豚肉やチーズなどでも関税を下げ、約72億ドル(約7900億円)分の農産品の関税を撤廃・削減する。

 一方、日本からの輸出では、エアコン部品や一部の工作機械などの工業品が関税撤廃の対象となる。

 TPPで米国が認めていた日本車や同部品の関税撤廃は継続協議として先送りされた。それでも、米国が日本車に25%の追加関税や輸出数量規制を課さないことが確認され、最悪の事態は回避された形だ。

 日本政府は協定発効に伴う国内総生産(GDP)の押し上げ効果を約0・8%と試算。もっとも自動車と同部品の関税撤廃を前提としており、今後の交渉の課題だ。日米両政府は第2弾の交渉に向けた予備的な協議を、発効後4カ月以内に終了させるとしている。

 協定の発効で、日本の貿易額における貿易協定カバー率は、発効済みのTPPや欧州連合(EU)とのEPAなどを含め、約52%となる。韓国の約68%には及ばないが、米国の約41%、EUの約35%を上回る。さらに日本はインドなどと交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓自由貿易協定(FTA)などの妥結で自由貿易圏の拡大を目指す。

 一方、来年1月1日、データの自由な流通を促進するルールなどを整備した日米デジタル貿易協定も発効。日米でデジタル貿易の世界標準をつくる狙いだ。

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 【日米貿易協定】 日米両国による農産品や工業品の関税分野に絞った貿易協定で、10月に署名した。日本は米国産の牛肉や豚肉の関税を環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の水準まで下げる一方、米国は日本の工作機械の一部やエアコン部品などの関税を撤廃する。米国が離脱する前のTPPで認めた日本の自動車と同部品の関税撤廃は「さらに交渉」として先送りされた。デジタル貿易に関する協定も別途締結した。

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