海外情勢

カタール、冷房完備の競技場建設加速 サッカーW杯にも対応

 国際スポーツ大会の暑さ対策が急務となっている。東京五輪もこれまでに、マラソンと競歩の開催地が札幌に変更された。変更の決定打は、酷暑で知られる中東カタールの首都ドーハで2019年9~10月に開かれた両競技で棄権者が続出したことだ。カタールでは22年のサッカー・ワールドカップ(W杯)も開催されるため、同国は冷房完備のスタジアム建設を加速、注目が集まっている。

 昨年10月下旬、ドーハ近郊の気温は37度に達したが、競技場内はピッチ脇の壁からの冷風で涼しい。同5月に完成した新競技場「アルジャヌーブ・スタジアム」の技術者は「屋内は22度前後」と説明する。最大4万の座席の下に無数の送風口があり、観客は足元からも涼を得られる。

 外部から引き込んだ冷水で空気を冷やし、競技場内を循環させるシステム。試合中などは屋根を開くが、それでも冷却効果が得られるといい、タニ・ザルア事業部長は「カタールの冷房技術はどんどん向上している。他の国の参考になる」と胸を張った。

 酷暑下の競技では選手の安全を懸念する声が広がっており、涼しい場所や時間選びは国際大会喫緊の課題。米紙ワシントン・ポストによると、夏には50度近くなるカタールの平均気温は100年前と比べ約2度上昇した。当初夏の開催が見込まれていたW杯は、同国の気温が比較的低くなる11~12月に変更された。

 それでも通常の数倍とされる高額な費用をかけて政府が8つの「涼しい競技場」を整備するのは、「スポーツ観光」の実績を世界に示し、天然ガス頼りの経済を多角化させたいとの意図がある。

 この冷房技術は26年の米国、メキシコ、カナダ大会などで生かされる可能性もあり、カタールW杯組織委員会のハリド・ナーマ広報担当は「暑い国という“弱点”を生かして暑さ対策の向上につなげたい。カタールを一年中スポーツが楽しめる国にしたい」と意気込みを話した。(ドーハ 共同)

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