海外情勢

トルコでラーメン店相次ぎ開業 富裕層や若者にブーム広がる

 アジアと欧州にまたがるトルコの最大都市イスタンブールで、ラーメン専門店の開業が相次いでいる。店主はいずれもトルコ人男性。世界三大料理の一つとも言われる伝統料理を誇るトルコで、食の多様化が次第に進んでおり、「ラーメン熱」もじわりと高まっている。

 「ラーメンはあまり知られておらず、大冒険だった」。20代のジャネル・デミライさんは2018年夏、外国人も多く訪れる繁華街に専門店「タスラーメン」を開いた。

 子供の頃から近所の韓国人家族と交流し、アジア料理に関心を持った。大学で食と文化について学んだ後、欧州料理店などで働きながらラーメンを独自に研究。語学留学で数カ月間滞在したロンドンでも、ラーメン店に足しげく通った。

 大半のトルコ人が信仰するイスラム教は、豚肉の摂取を禁じるなど食に関する戒律がある。トルコ人は一般に「食に保守的」とされ、「麺とスープを一緒に食べることに慣れていない人が大半」(日系食品企業関係者)。デミライさんの課題は「いかにしてトルコ人の口に合うラーメンを作るか」だった。

 試行錯誤の末、鶏と野菜を長時間煮込んだスープと、自作の麺の組み合わせに行き着いた。コクがあるスープで「一度食べて気に入り、再び来る地元客も多い」といい、一部の客の要望を受けて豚を具材やスープに使ったラーメンの提供も始めた。

 30代の実業家、アブドゥルカディル・ウズンさんも19年4月、専門店「ミソラーメン」を仕事仲間のオメル・ギュレルユズさんと共同で開店した。「昔から日本や和食に興味があり、趣味でラーメンを作ってきた」といい、製麺やスープのレシピをインターネットの動画サイトなどで研究した。

 「アジアに興味を持っている若者も多い。より多くの人にラーメンを知ってもらいたい」と話し、気軽に食べてほしいと価格も抑えた。ラーメンの本場である日本も訪れてみたいという。

 トルコには日本人約1800人が暮らし、日系企業約200社が進出。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本食店は20店にとどまるが、ラーメンを看板メニューとする別の店も昨年開業した。ジェトロ現地事務所の中村誠さんは「富裕層や若者を中心に日本食への関心は高まっている。欧州のラーメンブームやアニメなども影響しているのでは」と指摘した。(イスタンブール 共同)

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