株価・外為

マネー移動で輝く“有事の金” 中東緊迫でヘッジファンドの一部も投入

 米国とイランの対立が金融市場を「ジェットコースター」のように揺さぶっている。中東情勢の緊張が高まるたびに、投資マネーが株式などリスクの高い資産から、金や日本円、債券など相対的に安全とされる資産へと移動。大きなお金の流れが動きが発生する中で、特に金が逃げ場として選ばれており、ひときわ強い輝きを放ち始めた。

 イランによる米国への報復が8日朝の日本市場を直撃した。日経平均株価は取引開始直後から急反落して一時、620円超も下落した。外国為替市場ではドルを売って円を買う動きが強まり、一時1ドル=107円65銭と約3カ月ぶりの円高水準に達した。債券市場では10年物国債の利回りがマイナス幅を拡大する場面もあった。中国や韓国の株価も大きく下げた。

 だが、攻撃の一段の拡大は避けられたとの見方から、市場は徐々に落ち着きを取り戻した。日経平均の終値は、前日比370円96銭安の2万3204円76銭。円相場は午後5時現在、108円台半ばまで戻した。

 一方、米ニューヨーク金先物市場は中東から届いたニュースにもっと敏感に反応した。取引の中心である2月物は時間外取引で一時、1オンス=1600ドルを突破し、2013年3月以来、約6年10カ月ぶりの高値をつけた。7日まで10連騰した直後にイランが報復に出たことで、資金流入量が一気に膨らんだ。

 「金融市場は米国とイランの対立一色になった。まともに買えるのは金だけだ」。金の強さについて、エコノミストの豊島逸夫氏はこう指摘する。

 有事の際に買われる資産はほかにもあるが、特に金を選好する動きが鮮明になっている。

 たとえば債券の世界では、中央銀行がマイナス金利政策を続ける日欧を中心に、債券利回りがマイナス圏に沈没。金利を生まない金の方が「利回り」が高い珍しい現象が起きている。通貨では、円だけでなく、ドルやスイスフランも買われるため、一方的な円高は起きにくい。

 中東の原油供給が減るとの懸念から、原油市場にもお金は流れているが、「シェールオイルの生産量が増えている上、需要が大きく増える見通しもなく、中東がよほど危機的な状況にならない限り上昇し続けることは考えにくい」(市場関係者)。

 こうした事情もあって、従来は金に見向きもしなかったヘッジファンドの一部が金価格に連動する上場投資信託(ETF)や金先物にお金を投入し始めているという。結果的に金価格の急騰が目立っているというわけだ。

 豊島氏は「米国とイランが簡単に妥協するとは考えにくい。可能性は低いものの、両国の軍事的な報復合戦が起きた場合は1800ドル台も視野に入る」と話している。(米沢文)

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