国内

米イラン対立 自衛隊中東派遣、自民は支持 野党は撤回で一致

 イランによるイラク国内の米軍駐留基地への攻撃で米イラン間の緊張が一層高まった8日、主要野党からは、政府が先月閣議決定した海上自衛隊の中東派遣の撤回を求める声が高まった。政府は派遣を変更しない方針を示しており、与党も支持する構えだ。自民党は9日、外交部会などの合同会議を開き、今後の対応を協議する。

 「今後の推移次第で外交や、石油をはじめとしたエネルギーの確保、日本の艦船の安全に大きな影響が出ることも予想される」

 地元・広島から急遽(きゅうきょ)帰京して政府から報告を受けた自民党の岸田文雄政調会長は8日、党本部で記者団にこう述べた。その上で自衛隊派遣について「リスクが高まっているなら、日本の艦船の安全のためにより重要だ」と強調した。

 中谷元(げん)・元防衛相は産経新聞の取材に「イランと米国の双方が自制し、混乱が拡大しないようにすべきだ」と指摘。「(中東地域を航行する)日本船籍の船舶の危険がますます高くなっている」として自衛隊派遣の必要性を訴えた。

 中山泰秀外交部会長も「日本は米国の同盟国として、精いっぱい、情報戦に対する備えと支援を行うべきだ」と語り、日本政府の姿勢に理解を示した。

 一方、立憲民主、国民民主、共産など主要野党は8日、国会内で国対委員長会談を開き、自衛隊派遣の撤回を求めることで一致した。10日に予定されている与野党国対委員長会談で、与党側に伝える方針だ。

 立民の安住淳国対委員長は「今の状態で海上自衛隊を現地に派遣すべきではない。閣議決定そのものを白紙に戻す、撤回することの方が正しいのではないか」と述べた。

 国民の玉木雄一郎代表は8日の記者会見で、「日本はあらゆる外交資源を活用し、米国とイランに自制を強く求めるよう行動すべきだ」と指摘。「特に安倍晋三首相はイラン指導部との接点もある。今こそこうした日本外交をしっかりと機能させるべきだ」とも語った。

(田村龍彦、内藤慎二)

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