海外情勢

大型買収に意欲、未公開株ファンドに存在感 手元資金は総額160兆円超に

 M&A(企業の合併・買収)市場を取り巻く環境が悪化するとの見通しが強まる中、2020年はプライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンドが買収を積極化し、存在感を増すことになりそうだ。

 複数のPEファンドは新たなフロンティアとしてドイツの鉄鋼大手ティッセンクルップのエレベーター事業の買収に意欲を示しており、関係者は取引額が150億ユーロ(約1兆8000億円)を上回ると見込む。また、時価総額520億ドルの米ドラッグストアチェーンのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなどより大きなターゲットの買収にも名乗りを上げている。

 調査会社プライベート・エクイティ・インテリジェンスのまとめによると、19年末時点でのPEファンドの手元資金は総額1兆5000億ドル(約164兆円)と過去最高水準に上り、豊富な資金をてこに買収活動を活発化している。これらPEファンドが潤沢な手元資金を持つ理由の一つは、プライベートクレジットや日本などの地域の新たな資産クラスが民間資本に門戸を開放しており、投資の選択が拡大したことがある。

 昨年のPEファンドによるM&Aは金額ベースで4500億ドルだったが、今年のM&Aの規模は過去最大規模の手元資金を武器に金融危機以来の高い水準に引き上げられる可能性がある。

 投資会社インベストコープの北米部門のPE責任者、デーブ・テイ氏は「英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる確実性の向上や、低金利の継続など健全なM&Aを後押しする追い風が多くある」と指摘した。

 今年のM&A市場をめぐっては、PEファンドによる取引活発化のほか、株主が利益還元圧力を強めていることなどがM&Aの推進要因として働くとの期待も出ている。最近の株主は自社株買いよりもM&Aを通じた還元を望む傾向があり、成長を求める企業は魅力的な資産の獲得に向けしのぎを削っている。(ブルームバーグ Melissa Karsh、Nabila Ahmed)

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