海外情勢

今年の銅相場は一転当たり年 業界予想 需要回復で価格上昇

 2020年の金属鉱業セクターについて、ジェフリーズのアナリスト、クリストファー・ラフェミナ氏を筆頭に業界アナリストの多くが銅相場の上昇を予想している。工業用原料として幅広く利用される銅は、景気循環との相関性の高さから「ドクター・カッパー」と呼ばれることが多い。アナリストらは米中貿易摩擦が影を落とした19年から一転、今年は世界の需要回復に伴う銅相場の当たり年になると見通す。

 供給量は対応できず

 19年は米連邦準備制度による複数回の利下げを期待する向きや米国と中国の間での地政学的な緊張の高まりを受けた「有事の金買い」で金鉱株が上昇した。半面、貿易関連の脅威が世界の需要を減衰させるとの懸念から、卑金属銘柄は軟調だった。

 だが貴金属と卑金属それぞれの関連銘柄のベンチマークの過去の推移をみると、貴金属の成績が卑金属を上回った後に卑金属が追い付くことが多い。世界の卑金属銘柄のウエートを均等化した「S&P/TSXイコール・ウエート・グローバル・ベース・メタルズ指数」は、16年に金鉱株の「S&P/TSXイコール・ウエート・グローバル・ゴールド・メタルズ指数」に対してアンダーパフォームした後、17年末までに肩を並べた。20年の銅相場に関するアナリストらの予想が正しければ、近々、同様の動きになる可能性がある。

 ジェフリーズのラフェミナ氏は顧客向けリポートで、20年には需要が回復して状況が反転すると指摘。「循環的な需要回復が緩やかであっても、現在の銅供給量では対応できない」と分析。銅在庫が数年来の低水準にあるほか、空売りなどによるショートポジションが積み上がっていること、供給上の制約、需要の高まりが、銅価格が上昇する状況を作り出していると説明する。

 ゴールドマン・サックスのコモディティリサーチ(商品調査)部門を率いるジェフリー・クリー氏もラフェミナ氏の楽観的な見方に賛同している。クリー氏は中国発の力強い成長がもたらす20年の銅相場の転換を予想。ゴールドマンのコモディティ部門は「20年の銅相場について、当社はかなり強気な見方」をしている。中国では「送電網や不動産、輸送セクターの業績不振」を中心に銅の需要が振るわなかったが「不動産セクターで8月以降、回復の動きが続いており、今後2年は安定した成長」を予想する。さらに「中国政府のインフラ刺激策により、20年の1~3月期に送電網への投資が勢いを増す公算が大きい」との見方を示し、金相場について同社は「戦略的問題から」今後も堅調さを維持するとみる。

 新興国市場の恩恵

 シティやモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ(BOA)も、銅価格と世界経済の回復に期待している。

 シティが20年の鉱業・金属セクターで最も強気な見方をしているのは、アルミナ、銅、コークス用炭で、亜鉛、鉄鉱石については弱気だ。新興国市場の回復が主な牽引(けんいん)役となって世界の成長はやや上昇し、コモディティがその恩恵を受けるとみる。同社コモディティ部門は金相場についても、中期的に強気展開を予想する。

 モルガン・スタンレーのコモディティ部門は20年について、同年末にかけた「ミニサイクルの景気回復局面」による需要の緩やかな上昇を見通す。北米鉱業セクターに対する強気スタンスを維持しており、特に銅へのエクスポージャーを選好している。

 また、コバルトと銅を推奨する半面、鉄鉱石、リチウム、亜鉛は最も敬遠している。

 BOAは、在庫補充局面入りの可能性や米連銀の緩和政策、米中両国が通商協議で第1次合意に達したことで、20年に原材料が景気循環的な恩恵を受けると予想、魅力的なインフレヘッジになるとみている。銅やニッケルは20年に上げ相場となる可能性が高いが、金など貴金属相場の先行きについては警戒を強めている。(ブルームバーグ Aoyon Ashraf) 

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