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米中もろい「休戦協定」 管理貿易に批判も 第1段階合意

 【ワシントン=塩原永久】米国と中国が署名した「第1段階」貿易協定は、火種を抱えた不安定な「休戦協定」といえる。米国が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の締め付けを強め、第5世代(5G)通信技術や人工知能(AI)をめぐる米中の覇権争いは激化する一方だ。協定は中国に合意を順守させる仕組みを設けたが、これが機能しなければ、米国が「懲罰」として関税発動を再開する懸念が残る。

 「華為をチェスの駒のように扱わない。安全保障問題が最優先だ」

 米中が署名式を開いた15日、ムニューシン米財務長官は米CNBCテレビでそう話し、機密情報流出の懸念があるとみる中国製の排除策を緩めたり、華為問題を交渉材料にしたりする考えはないと強調した。

 ロイター通信は14日、華為への禁輸措置を発動した米商務省が、同社に対する輸出管理をさらに強化する検討をしていると伝えた。米国務省も、中国製を排除するよう求める各国への働きかけを続けており、米中両国はハイテク分野で火花を散らす。

 一方、米中が署名した貿易協定は、知的財産権の保護や技術移転強要の是正を盛り込んだ。中国政府の取り組みを検証できるようにし、紛争解決の手続きも定めている。閣僚級や次官級が定期的に協議し、違反があれば問題の深刻度に応じた対抗措置が認められる。

 ただ、違反の有無や対抗措置の妥当性は米中がそれぞれ判断し、対立が解消できなければ「協定からの脱退」(米政府高官)が最終手段となる。協定が無効となり米国が再び制裁関税を活用する可能性がある。

 昨春からの貿易協議で中国はハイテク産業を振興する補助金の撤廃を拒んだとみられ、協定には含まれなかった。軍事技術にも直結する先端技術分野で中国は譲歩しない構えだ。

 トランプ政権は、中国による対米輸入額を2年で2千億ドル(約22兆円)増やす数値目標を協定に盛り込んだ。欧州連合(EU)のマルムストローム前欧州委員(通商担当)はツイッターに「管理貿易は多国間の規範に合致しない」と投稿。自由貿易に逆行する協定内容への批判をにじませた。

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