海外情勢

中国証券業界、世界の潮流に逆行 アナリストの採用最多…国内リテールに需要

 中国の証券会社によるアナリスト採用が2019年まで4年連続で増加し、登録数が過去最高となった。投資銀行が調査部門を縮小する世界的なトレンドに逆行する動きだ。

 中国証券業協会の登録アナリストは19年12月26日時点で3225人と前年比で8%増えた。一方、世界の主要銀行12行のアナリスト数は8%減って3500人。調査会社コーリション・デベロップメントが集計を開始した12年以降、年間で最も大きな落ち込み。

 こうした傾向の違いは21兆ドル(約2300兆円)規模の中国資本市場における極めて大きな変化を示している。外国からの資金流入増や株式・債券発行の拡大を受け、マクロ経済や各業界、債券や商品に至るあらゆる分野で分析需要が高まっている。

 中国当局はゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど米金融大手と渡り合えるよう国内証券各社に競争力の強化を求めている。

 世界的に調査部門は自動化やパッシブファンドの台頭で技術革新や市場需要の変化に直面しているが、中国ではこうしたトレンドの広がりは緩やかだ。

 欧州の金融資本市場をめぐる包括的な規制、第2次金融商品市場指令(MiFID2)でリサーチコストと取引手数料の分離を余儀なくされた結果、人員削減が相次いでいる。一方で中国の証券各社は巨大な国内リテール市場に軸足を置き、MiFID2による影響からおおむね守られている。

 だが、中国本土のアナリストも悪いニュースと無縁というわけではない。国内証券の報酬構造はファンドからの手数料収入依存が極端に高く、15年の相場急落以降は落ち込みが目立っている。

 手数料の減少で給与の下押し圧力は強い。新財富誌がアナリスト1000人超を対象に実施した最近の調査では、この1年で減給と答えたのは回答者の約45%に上り、5分の1程度は20%を超える減少だったという。

 アナリストは自らの能力を示す場としてランキングを重視せざるを得ない。5年の経験を持つ一般的なアナリストが中国で稼ぐのは年7万5000ドル程度だが、新財富のランキングに入る誰かであれば容易に100万ドル以上稼ぐことも可能だ。

 ただ、アナリスト90人余りを抱え中国中部に本拠を置く中堅の証券会社、長江証券の劉元瑞社長はビジネスモデルを証券各社が見直さなければ、所得の大幅増は見込めないと指摘する。

 「より多くの利益が現行モデルから生じることはなさそうで、各社は調査チームの機能を再考する必要がある」と話した。(ブルームバーグ Lucille Liu)

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