海外情勢

「再利用」で環境配慮をPR 22年冬季五輪へ準備着々

 2022年の冬季五輪開催へ向けて中国が着々と準備を進めている。平昌、東京、北京と東アジアでは2年ごとに五輪が続く。さらに北京市は史上初めて夏季と冬季の大会を開くだけに「中国人民とアジアの誇り」(政府幹部)と気合も十分だ。製鉄所の跡地を活用した会場で「エコ」をアピール。観光活性化につなげようと競技普及にも力を入れる。

 「再利用の精神は国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長にも称賛されました」。北京の「首鋼パーク」で昨年12月中旬、外国メディアの記者団を前に、五輪担当者の男性が誇らしげに一帯を指さした。

 パークは大気汚染の源だとされて移転した鉄鋼大手、首鋼集団の製鉄所跡地で、冷却塔や貯水池を残した景観が広がる。五輪のスノーボードで使うジャンプ台は同10月末に工事が終わり、完成後初の大会のワールドカップ(W杯)が開かれていた。

 製鉄所の施設を改築したカーリングやアイスホッケーなどのトレーニング場も。原料貯蔵塔だった建物には大会組織委員会の本部が入っている。

 冬季五輪は北京と河北省張家口市で開かれる。08年の北京夏季五輪会場の再利用も多く、水泳会場だった「水立方(ウオーターキューブ)」は「氷立方(アイスキューブ)」に改装されカーリングが行われる。

 一方、モーグルやハーフパイプなどの会場となる張家口の雲頂スキー場は6つのコースを備える予定で、土木工事と人工降雪設備の設置を終えた。

 「五輪開催は経済発展のためでもある」。張家口市共産党委員会の張春生・宣伝部長はこう力を込める。約180キロ離れた北京と張家口は車では約3時間かかるが、高速鉄道では約50分だ。

 市は16歳以下のスキー場利用を無料にし、ウインタースポーツの学校を約60校新設。小中学校でも授業を実施して競技普及を図っている。

 選手のトレーニング拠点でもある張家口の太舞スキー場は、ピーク時で1日平均約5000人が訪れる。「アジア最大級」(同スキー場)の初級者コースを備えており、営業部門幹部の聶(じょう)寧寧さんは「中国は最大の初心者市場。スキー客はさらに増えるだろう」と意気込んだ。(北京、張家口 共同)

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