海外情勢

オーストラリア首相、火災対応不満で支持率急落 家族でハワイ旅行公表せず

 オーストラリアン紙がこのほど掲載したオーストラリアの世論調査結果で、森林火災の被害が拡大する中、昨年12月に公表せずに家族でハワイ旅行に出掛けたモリソン首相の支持率が急落した。与党保守連合の支持率も同5月の総選挙以来、初めて野党労働党に逆転された。

 モリソン氏は旅行を切り上げて帰国後、消火活動などのために軍の予備役約3000人を招集したり、今月6日には復興支援機関を新設し、20億豪ドル(約1500億円)を投じると発表したりしているが、国民が対応に不満を募らせている現状が浮き彫りとなった。

 今月8~11日に実施された調査会社ニュースポールの最新の世論調査には1505人が回答。モリソン氏の実績に「満足」と答えた人は前回昨年12月4~8日の調査より8ポイント減って37%。「不満」は11ポイント増えて59%に達した。「好ましい首相」ではモリソン氏が前回より9ポイント下がって39%、労働党党首のアルバニーズ氏が9ポイント上がり43%と、モリソン氏が初めてアルバニーズ氏の後塵(こうじん)を拝した。

 二大政党勢力間の支持率ではモリソン氏が率いる自由党主導の与党保守連合(自由党、国民党)の支持率は49%で、労働党は51%。前回の調査では保守連合が52%、労働党が48%だった。

 森林火災では北海道の面積を超える約1000万ヘクタールが焼失。記録的な高温と乾燥を背景とし、気候変動が遠因との指摘もある。モリソン氏は二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電を推進し温暖化対策に消極的と批判されており、今月10日にはシドニーなど主要都市で政府に気候変動対策の強化を求める大規模なデモが実施された。(シドニー 共同)

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