海外情勢

移動制限の1100万人都市・武漢 日本との深い関係

 【北京=三塚聖平】事実上の移動制限という異例の措置がとられた武漢市。新型コロナウイルスによる肺炎で世界にその名を知られることになったが、中国では中部地域の中心都市として高い経済成長を誇ってきた。主力産業である自動車を中心に日本など外資系企業の進出が目立ち、日本からの出張者が多い都市のひとつであるだけに影響の広がりが懸念される。

 武漢は湖北省の省都で、同市のホームページによると人口は約1100万人。交通の要衝として古くから発展し、1949年の中華人民共和国成立後には鉄鋼や造船など重工業の大型工場が相次いで建設された。1911年には清朝を打倒した辛亥革命のきっかけとなった「武昌蜂起」の舞台になっている。

 現在は、自動車産業の集積地として存在感を高めており、中国経済が減速傾向を強める中で武漢経済は全国でも好調な部類に入る。2018年の中国の実質国内総生産(GDP)は前年比6・6%増だったのに対し、武漢市の域内総生産は同8・0%増と全国を上回る。湖北省の経済も武漢に頼るところが大きく、昨年秋に武漢を訪れた香港の日本人駐在員は「中国のほかの都市と比べて活気があった」と指摘する。

 経済関係者を中心に日本人も多く、在中国日本大使館によると武漢の在留邦人は約550人に上る。日本企業の進出も多く、日本貿易振興機構(ジェトロ)の北京事務所によると約160社となっている。消費需要も旺盛で、日本の流通大手のイオンは同市内に大型ショッピングモール「イオンモール」を3店舗展開する。同社コーポレートコミュニケーション部によると武漢の店舗は現在も営業を続けているが、交通規制で従業員が出社できず臨時休業を余儀なくされるテナントが一部あるという。

 北京市の日本大使館では23日に在留邦人向けの説明会が開かれ、参加者から「武漢の封鎖解除のめどはいつか」といった質問が出た。日系鉄鋼メーカーの北京駐在員は「武漢には日本から派遣されている社員もいるが、空港閉鎖となれば日本に帰れなくなるので心配している」と懸念した。

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