海外情勢

米製薬、新型肺炎ワクチン開発加速 株価は軒並み急伸

 新型コロナウイルス感染が加速する中、米製薬各社が流行阻止に向けた新薬開発に全力を挙げている。27日の米株式市場では各社の取り組みが脚光を浴び、株価は軒並み急伸した。

 エボラやHIV向け

 米ギリアド・サイエンシズとモデルナなどの製薬会社は(1)エボラ出血熱やエイズウイルス(HIV)など致死率の高い他のウイルスに対して開発された医薬品を転用する(2)新技術を頼りに、かつてないスピードでワクチンを開発する-という2つの戦略を進めている。

 ギリアドはエボラ出血熱の治療向けに開発していた治験薬の「レムデシビル」を新型肺炎の治療に使えるか、米国や中国の研究者や臨床医と協力して研究していることを明らかにした。

 一方、中国の医師らは米バイオ製薬会社アッヴィの抗HIV薬、リトナビルとロピナビルの配合剤である「カレトラ」の利用を開始した。臨床試験で「インターフェロンアルファ2b」として知られる抗ウイルス剤よりも効果的かどうかを評価している。ただ、新型ウイルス、特にそのパターンがよく知られていないウイルスに対する既存薬の使用は完全に実験的で、成功の保証はない。

 27日の米株式市場では米製薬各社の株価が軒並み急伸した。鳥インフルエンザやHIVなどの治療方法の研究を手掛けるナノバイラサイズは一時110%高の17.77ドルと、取引時間中としては2018年3月以来の高値を付けた。バイオクリスト・ファーマシューティカルズは一時19%高となった。

 イノビオ一時40%高

 新型コロナウイルス向けのワクチン開発に取り組んでいるイノビオ、ノババックス、モデルナはそれぞれ一時40%、19%、9.5%上昇した。

 イノビオは先週23日、新型コロナウイルス向けワクチン開発で感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)から最大900万ドル(約9億8000万円)の助成金を受けたことを明らかにした。モデルナも同日、CEPIからの助成金を発表した。CEPIはワクチン開発促進のため17年1月のダボス会議で発足した官民連携パートナーシップで、日本の厚生労働省も創設に関わった。

 ノババックスも先週、新型コロナウイルスに対するワクチン候補に取り組んでいると明らかにした。

 アッヴィ株も一時2.9%上昇した。中国の保健当局は26日、世界で新型コロナウイルスによる肺炎の治療方法を見つける取り組みが行われている間の措置として、アッヴィの抗HIV薬「カレトラ」を治療に使用することを明らかにした。

 CEPIのリチャード・ハチェット最高経営責任者(CEO)は28日までにインタビューに応じ、「『伝令RNA(mRNA)』などの技術によって臨床試験が16週間後というこれまでにないスピードで開始できたとしても、新型コロナウイルスのワクチン開発には少なくとも1年かかる。量産体制が整うにはさらに数カ月かかるだろう」と指摘。この上で「この野心的なタイムラインでも長すぎるくらいだが、私たちは状況を変えたいと思っている」と語り、早期のワクチン開発の重要性を強調した。(ブルームバーグ James Paton、Jason Gale)

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