海外情勢

米、中国全土に渡航中止勧告 大使館員ら国外退避 ヒトヒト感染も米国内で確認

 【ワシントン=黒瀬悦成】米国務省は30日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染被害が広がっている中国全土への渡航勧告について、4段階のうち上から2番目の「再検討」から最高の「渡航中止」に引き上げた。世界保健機関(WHO)が新型ウイルスに関し「緊急事態」を宣言したことを受けた措置。渡航中止の対象はこれまで、新型肺炎が発生した武漢市を省都とする湖北省だけだった。

 国務省はまた、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて北京の米大使館や中国各地の総領事館に勤務する館員とその家族らに対し、緊急要員を除いて国外への退避を許可した。

 武漢市の総領事館については23日に国外退避を決め、米政府のチャーター機で退避させた。米政府は武漢市に滞在する残りの米国人を退避させるため、来月3日までに追加のチャーター便を飛ばす方針だ。

 一方、米疾病対策センター(CDC)は30日、新型ウイルスに感染した中西部イリノイ州に住む女性の夫がウイルスに感染したことを確認したと発表した。CDCによると、米国内で人から人に感染した事例は初めて。米国で確認された感染者は計6人となった。

 CDCによると、イリノイ州の女性は最近、中国に渡航し帰国した。夫妻はいずれも60歳代。同州の保健当局は、夫妻と接触したとみられる21人の行方を追跡している。CDCは声明で「一般の米国民がただちに感染するリスクは低い」と強調した。

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