海外情勢

アルジェ旧市街進む活性化 世界遺産のカスバ 観光客増加の兆し

 世界遺産に登録されているアルジェリアの首都アルジェ旧市街「カスバ」で、街を活性化する試みが住民の間で進んでいる。地中海を望む丘に古い家屋や路地、イスラム教の礼拝所が迷宮のように密集した街は「カスバの女」など歌や映画の舞台にもなった。近年は老朽化による建物の倒壊や空き地拡大が深刻で、住民は外国人観光客の訪問を期待し、伝統工芸などの伝承を目指す。

 カスバは16世紀のオスマン帝国時代に海賊の拠点などとして発展。1954~62年の対フランス独立闘争では激戦の地となった。90年代の内戦中は、治安悪化で外国人の立ち入りは困難だった。92年に世界遺産登録されたものの、長く放置された家屋の倒壊や住民の流出が進み、政府関係者によると、約600棟が倒壊したか、倒壊の危機にあるという。

 カスバの坂道の行き止まりに建物の残骸があった。「3週間前に家屋が突然崩れた。12人家族がいたが、運良く逃げて無事だった」と近くの自営業、ジャマル・アザさん。周辺は床のタイルだけが残る空き地や鉄骨で補強された路地が点在、ほころびが目立つ。

 2019年4月には倒壊事故で5人が死亡した。建物の修復が急務だが、貧困層を中心に約5万人が暮らしている上、また貸しなどで保存・修復の交渉が難しい家屋が約7割に及ぶといい、対策が難航している。

 望みは観光客増加の兆しだ。近年カスバ内の治安が安定し、外国人客が訪れるようになった。路地には伝統タイルの修復工房や、カスバの骨董(こっとう)品を展示する博物館、観光客向けの食堂など比較的新しい施設も点在する。郷土料理店を開店したばかりのカリム・ハスビラウィさんは「中国人やトルコ人客が増えている」と説明した。

 4世代にわたりカスバで家具職人を営むファリド・スマッラさんも「かつてカスバに数千人いた工芸職人は数十人足らずになった」と指摘しつつ、「カスバにとどまり伝統を守れば、やがて人が戻る」と期待を込めて話した。(アルジェ 共同)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus