海外情勢

FRB、新型肺炎「注視」 パウエル議長証言、政策スタンスは変えず

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11日、下院金融委員会の公聴会での証言で、中国発の新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響を金融当局として注視していると述べた。米国および世界の経済を脅かす複数のリスクから特にこの問題に言及した。

 パウエル議長は「われわれは特に、新型コロナウイルス出現の問題を注視している。この問題は中国での混乱につながり、世界の他地域の経済に波及する恐れがある」と証言した。

 通商リスク依然残る

 一方で、ウイルス感染拡大問題が米経済に関する金融当局の基本的な見通しを変えたとの認識までは示さなかった。米政策金利が年内、現行水準で据え置かれるという連邦公開市場委員会(FOMC)の多数のメンバーの予想に変更が生じたと言及することもなかった。

 「FOMCは現行の金融政策スタンスが持続的な経済成長、力強い労働市場、および委員会が目指す対称的な2%目標にインフレ率が戻るのを支えると考えている」と発言。「米経済に関する今後の情報がこうした見通しにおおむね整合的なままであるなら、現行の金融政策スタンスは引き続き適切となる公算が大きい」と述べた。

 質疑応答で新型ウイルスの米経済への潜在的影響について認識を問われると、議長は「米国に一定の影響が及ぶであろうこと、その可能性が非常に高いことを承知している」と発言した。米金融当局にとっての問題は、それが「長引く」か「重大な」要素になるかであり、「発言するには時期尚早だ」と付け加えた。

 米中は貿易交渉の第1段階合意に署名したほか、英国による突然の合意なき欧州連合(EU)離脱は回避された。世界の製造業データはわずかながら改善しており、今年の見通しが安定さを増したことを示唆している。パウエル議長は「貿易をめぐる不確実性の一部はこのところ低下しているが、見通しへのリスクは残っている」と述べた。

 おおむね明るい見方

 米経済に関してはおおむね明るい見方を示した。「経済活動は緩やかなペースで拡大し、労働市場は一段と力強さを増した。向かい風は世界的に昨年夏に強まったが、米経済には回復力があることが示されたようだ」と証言した。

 米経済の現在の強さを阻害し得る要因を議員に質問されると、「今の景気拡大に不安定さや持続不可能といったものはない」と答えた。

 また、昨年9月に米短期金融市場で起きた金融機関同士が国債などを担保に資金を貸し借りする際の翌日物レポ金利の急上昇については、金融当局が抑え込みに成功したとの認識を示した。

 そのうえでパウエル議長は「金融当局の米財務省短期証券(Tビル)購入により、銀行の準備金は潤沢な状態を維持する水準へと継続的に積み上がってきた。われわれはレポオペの積極的な活用を徐々にやめる意向だ」と語った。(ブルームバーグ Christopher Condon)

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