海外情勢

中国台頭で悪影響度は上昇 新型肺炎、SARS時と異次元リスク

 過去の経験は将来の確かな指針になるわけではないと資金運用担当者は話したがるが、参考になるデータが何もないよりましだと主張する向きも多い。

 米ウォール街は過去が前例にならないと百も承知で、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時を参考に新型コロナウイルスの影響を急ぎ予測しようとしている。

 中国経済の劇的な変化、国境を越える人の往来増加、世界的な市場の構造が、過去との比較の信頼性を後退させる。中国経済は03年当時の10倍近くの規模に拡大し、世界の金融システムに与える脅威ははるかに大きい。同時に中国経済はサービス業主導型へと発展し、脅威の市場への伝わり方に影響を及ぼす。また、中間層が拡大し、多くが海外旅行に出る現在は新たなリスクが生じる。

 INGの為替戦略グローバル責任者のクリス・ターナー氏らは「中国人の旅行が国内中心だった03年とは異なり、中国人旅行者は世界の観光業の大きな牽引(けんいん)役に成長した」とリポートで指摘。「その結果、ウイルスの感染拡大速度は03年と比べてはるかに速い可能性がある。同時に、世界経済に対する悪影響も当時より大きくなる恐れがある」と述べた。

 さらに、メディアやニュースの伝えられ方なども違う。SARSの初症例は02年11月に報告されたが、しばらくは呼称もなく、社会から幅広く注意を引くまで時間がかかった。

 03年の集団発生による影響は、SARSの単独要因だけで判断できない面もある。ブルームバーグとして「SARS」の呼称を初めて用いた記事の配信から数日後、米国と同盟国がイラクを侵攻したためだ。

 その後のSARSに対する世界の市場の反応は、中東の混乱による影響と切り離すことができない。

 それでもINGのチームは、SARS流行時の動きは「相違点よりも類似点の方が多い。信頼できる事例になる」との見方を示す。同行ではコモディティーやその関連通貨に売り圧力が強まり、世界的な低金利は長期化し、中国との関係が深い新興国や経済基盤の弱い国は影響を受けやすいと指摘した。(ブルームバーグ Sam Potter)

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