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塗り変わる中国の経済地図 各省市自治区別の2019年GDP統計で確認する

 中国の各省市自治区別の2019年国内総生産(GDP)統計が出そろった。それを見ると、広東省が総額で初めて「10兆元(約156兆5000億円)」の大台を突破するなど、勢いの目立つ地域が出現している一方で、東北3省のように成長率が3~5%台に低迷する地域もあるなど、中国全体の経済地図が大きく塗り変わりつつあることが分かる。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 中国のGDP統計は各省市自治区の発表する合計数字が、中央政府の発表する数字を大きく上回るという問題点が従来指摘されてきた。これまでは中央と地方がバラバラに数字を発表してきたからだ。

 そこで国家統計局はこの統計数字の乖離(かいり)解消のために、計算方法を統一する準備を進めてきた。実施は今年初めからと発表されたが、各地方が発表した19年の統計数字をみると、前倒しで実施されており、あれほどひどかった乖離が既になくなっている。

 水ぶくれのなくなった各省市自治区の数字を見てみると、まず気がつくのは東北3省の地盤沈下だ。3省合計で全国GDPの約5%しか占めていない。吉林省に至っては、前年比3%増という低い伸び率である。このほか、天津市や山東省といった渤海周辺の地域も勢いがない。

 一方、元気組の筆頭は広東省である。「10兆元」の大台に全国で一番乗りしている。伸び率で見ると、西南地域の躍進が目立つ。貴州省は前年比8.3%増と全国トップである。隣接する雲南省も8%台に乗せている。

 こうした勢いの差は、ITなどの新興産業をどれだけ取り込んでいるか、さらには民営企業の積極性をどこまで生かし切っているかによる。

 東北3省はかつて国有企業中心の重工業基地として繁栄していたが、そこからの脱皮がうまく進んでいない。天津市も天津浜海新区の開発と取り組んだが、思ったほどの成果を上げていないようだ。

 広東省は一時、長江流域に勢いを奪われていたが、ここにきてイノベーション都市、深センの躍進に象徴されるように、再び中国経済の機関車役に復活している。この躍進を支えているのは、明らかに民営企業である。

 貴州省は長い間、最も貧しい地域と言われ続けてきたが、膨大な情報を活用するビッグデータ産業を取り入れたことで勢いが付き、省都の貴陽市は深センと並ぶ先端技術の街に変貌している。その先頭に立っているのも民営企業である。

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