国内

新型コロナが地価下落要因に 不動産鑑定士に聞く

 不動産鑑定士・芳賀則人氏に聞く

 東京、大阪、名古屋以外の地方の商業地や住宅地で不動産市場が活況となるのは、東京の地価がかなり高いことが一因だ。昭和末期から平成初期のバブル経済でも似た動きがあった。東京で不動産投資がぱんぱんに膨らみ、徐々にもうけが薄くなって、投資意欲が大阪、名古屋へと向けられる。その後、札幌、仙台、広島、福岡など地方へ広がる流れだ。

 公示地価は1月1日時点だが、評価の基となるデータは前年11月ごろまでの取引事例の情報となる。つまり、新型コロナウイルスの影響は反映されていない。

 最近は、新型コロナの影響でイベントの自粛や株価の下落などが続いている。住宅購入を考える人たちの間で所得減少への不安が広がれば、住宅の購入契約をためらう心理が働き、住宅地価の下落要因となり得る。その影響は地域に関係なく、全国的に広がる可能性がある。

 東京都心部から離れた東京、埼玉、神奈川、千葉の遠隔市町の住宅地などは厳しい情勢だ。都心部への通勤時間が長時間に及ぶためだ。働き方改革の流れで、テレワークを許容する企業風土ができて、都心部まで通わずとも仕事ができる環境が整えば、若い世代が遠隔地に住宅を買う動機付けとなり、地価が持ち直す可能性が出てくる。(談)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus