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医薬品市場 異業種参入含めチェーン展開拡大

 近年、チェーン展開する小売店を指す「組織小売業」がベトナムで急速に成長している。シェア拡大のためにさまざまな業界で採用されているが、潜在市場が大きく競争環境にある医薬品市場にとっても重要な販売形態だ。

 医療費年12.5%成長

 医薬品市場は人口増加、高齢化社会、所得増加により大きく伸びる見込みだ。英調査会社フィッチ・ソリューションズは、ベトナムの医療費が2017年の161億ドル(約1兆7000億円、国内総生産=GDPの7.5%)から、年平均12.5%の成長で21年には227億ドルになると予測。

 また、英エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの18年の調査によると、22年のベトナムの年間医薬品売上高は54億ドルで、年平均成長率もプラスと予測されている。

 医薬品は、医療用医薬品(医療機関向け)と一般用医薬品(ドラッグストア向け)の取り扱いに分けられるが、ベトナムでは前者が全体の70%を占めている。政策により病院で使用される国内製医薬品の使用の優先度が上がっているため、海外からの医薬品も取り扱う流通業者は販売拡大のため一般用医薬品向けへとシフトしている。

 ドラッグストアは「ファーマシティー」、「ファノ」、「メディケア」、越複合大手ビングループの「ビンファ」などが有名で、今後数年間で数千店以上に拡大し、シェアの大部分を占めると予想される。11年にホーチミンで創業したファーマシティーがマーケットリーダーとして全国に261店舗を展開し、19年の収益は前年比129%増の約3910万ドルに達する見込みとされる。同社は同年末に3180万ドルを調達し、20年に350店舗、21年に1000店舗体制への拡大を目指している。

 成長するドラッグストア市場のうま味を得ようと、異業種からの参入も見られる。

 越通信・IT最大手FPTグループでIT機器販売を手掛けるFPTリテールは薬局チェーンの「ロンチャウ」に、越携帯電話販売最大手のテーゾイ・ジードンは同「アンカン」に、インドネシア製薬会社のファロス・グループは同「センチュリー・ヘルスケア」にそれぞれ出資し、新たな店舗拡大を図っている。

 新旧プレーヤー交代

 足元で、越ドラッグストア市場は新旧プレーヤーの入れ替わりの佳境にある。昔ながらの個人薬局は、保健当局の規制が厳しくなったことで苦境を強いられている。今年から、薬局の経営者は薬学の専門中級学校卒業以上の学歴が必要となった他、店舗での自動温度管理・記録、医薬品の産地・価格の管理が必要となったことで、個人で薬局を経営するハードルが上がっている。

 消費者の薬局(ドラッグストア)の選択要因について調査したところ、「明確な由来」、「公正な価格」、「立地の良さ」を理由に選んでいることが分かった。

 ファノの代表によると、消費者は自宅近くの個人薬局で継続して購入する傾向があるため、ベトナムでは他国に比べてチェーン店への移行が遅れている。チェーン展開のドラッグストアがベトナムで浸透するにはまだまだ時間がかかりそうだが、市場の成長性から今後もさらなる投資やM&A(企業の合併・買収)があると考えられ、目が離せない。

  

 B&Company株式会社:日系で初・唯一のベトナム市場調査専門企業。消費者や業界へのアンケート・インタビュー調査と参入戦略を得意分野としている。b-company.jp

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 「ASEAN経済通信」https://www.asean-economy.com 

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