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都が東京五輪の関連計画見直し着手 追加負担で国や組織委と駆け引き

 東京五輪・パラリンピックの延期に向け、東京都は25日、計画の見直しに乗り出した。競技会場などの確保によって大会経費は大きく膨らむ公算で、都は大会組織委員会や国との追加負担をめぐる駆け引きに神経をとがらせている。

 「全国の役所で最も注目されている職場だ。長い道のりだが東京の希望につながると頭に刻んで頑張ろう」。小池百合子知事は25日午前、都のオリンピック・パラリンピック準備局を急遽(きゅうきょ)訪れ、拳を上げて職員を鼓舞した。都幹部の1人は「新型コロナウイルスで大変な時期に追加負担を世論は許してくれるだろうか」と心配する。

 民間から確保した関連施設は借り換え、使用期間の延長などの対応が必要。大会後は分譲マンションとなる選手村(中央区)は都が約42億円で今年1年間借りているが、追加賃料や、入居が遅れた場合の補償などが発生する可能性がある。

 一方、都が新設した6つの競技会場は大会後に競技やイベントなどに使われる計画だ。5施設で年間収支の赤字が見込まれ、延期で維持管理費はふくらむ。唯一黒字を見込む「有明アリーナ」(江東区)も、民間事業者による来年6月の運用開始予定が遅れそうだ。

 大会経費の負担額は昨年12月時点で組織委約6千億円、都約5900億円、国約1500億円。想定外の支出に備え、組織委は予備費270億円、都は緊急対応費100億円を計上しているが、今回の延期に伴う補償などを含めた費用は関係者内で「1千億円以上」「数千億円」などの見方が出ている。経費の大幅な積み上げは不可避な情勢だ。

 東京大会招致時の立候補ファイルでは組織委が資金不足に陥った場合は都が補填(ほてん)し、都で対応しきれない場合は国が補填する規定になっている。

 昨秋に国際オリンピック委員会(IOC)の意向でマラソン・競歩の札幌移転が急転直下で決まった際、都は「IOCに振り回された立場」(都幹部)として強く反発し、移転経費を負担しないことで決着。都幹部は「延期は新型コロナ感染拡大という国内全体、地球規模の事情が背景にあるわけだから、税金を集めている国が手厚く負担すべきだ」と牽制(けんせい)する。

 今夏には都知事選があり、小池氏は明言していないものの再選出馬は確実視されている。都関係者は「追加負担に都民の理解を得るためにも、強い姿勢で交渉に臨むことになるだろう」との見方を示す。

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