海外情勢

2次電池材料に亜鉛が脚光 リチウムより安価 再エネ貯蔵期待

 2次電池の材料といえばリチウムだが、近年は亜鉛が存在感を増している。亜鉛はこれまで充電効率が壁となり1次電池の用途にとどまっていた。だが、ここ2年ほどで2次電池化の実用化が加速し、再生可能エネルギーのマイクログリッド(小規模電力網)などで運用され、電力会社から期待を集めている。

 再エネの主電源化に向けた取り組みが世界的に広がる中、再エネの安定した電力供給を支える技術としてエネルギー貯蔵技術が重視されている。こうした中、にわかに注目を集めているのが亜鉛2次電池だ。ニューヨーク州電力公社(NYPA)は1月、カナダのスタートアップ、Zinc8エナジー・ソリューションズと亜鉛2次電池を活用したエネルギー貯蔵システムのプロジェクトで契約した。このプロジェクトでは庁舎や大学のキャンパス向けの非常用電源として、1キロワット時当たり250ドル(約2万7600円)で8時間続けて電力を供給する実証試験を実施する。

 Zinc8によると、亜鉛はリチウムに比べて発火の危険性が低いうえ、入手しやすく、コストが安いのが利点だ。同社のロン・マクドナルド最高経営責任者(CEO)はNYPAとの提携について「当社の技術をより広範な市場に展開するため門戸を開いた」と説明した。

 亜鉛電池は充電速度が低い特性から、これまで小型補聴器などに用途が限定されていた。しかし、ここ数年でテクノロジー企業の尽力により、充電可能な2次電池としての技術開発が加速。これら企業は事業規模の大きなエネルギー貯蔵システムにも用途を展開している。

 米国だけでなく、世界各地で亜鉛電池を利用したプロジェクトへの投資が進んでいる。米アリゾナ州に拠点を置くナントエナジーはマダガスカルで亜鉛2次電池を活用した再エネの発電網を構築しているほか、インドネシアの僻地(へきち)でのマイクログリッド向けにエネルギー貯蔵システムを提供するための合弁企業を設立。また、カナダのトロントに拠点を置くe-Znは同国政府から430万ドルの助成金を受け、トロント郊外の製造施設に48時間続けて電力を供給する実証試験を開始する予定だ。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)のエネルギー貯蔵アナリストであるジェームズ・フリス氏によると、世界の定置型エネルギー貯蔵の市場規模は今後10年間で現在の23ギガワットから155ギガワットに成長する見込みだ。電力会社が低コストで安全性の高いエネルギー貯蔵技術を求める中、亜鉛2次電池はリチウム2次電池に代わる有力な代替候補となる可能性がある。(ブルームバーグ Yvonne Yue Li)

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