海外情勢

港湾貨物激減、米経済に警鐘 内陸輸送にも打撃

 新型コロナウイルスの感染拡大で世界の港湾の取扱貨物量が大きく落ち込んでいる。ウイルス流行で多数の船便が欠航し、港湾施設や倉庫の作業員の自宅待機が続くなど、貿易の今後の動向を示す港湾の苦境は、米経済に警鐘を鳴らしている。

 最大2割落ち込みか

 全米港湾当局協会(AAPA)によると、2月以降ほぼ4月いっぱいにかけて、米港湾の貨物取扱量が最大2割落ち込む可能性がある。欧州最大のロッテルダム港でも既に、アジアからの貨物量が同程度、落ち込んでいる。

 新型コロナの拡散で世界経済が揺らぐ中、全世界の輸出入の9割を担う海上輸送の起点となる海港は貿易の今後の動向を示す指標だ。米最大のコンテナ取扱量を誇るロサンゼルス港をはじめ主要港での荷動きの悪化は、新型コロナで経済が甚大な被害を受ける可能性を示している。アジアから米国に輸入される衣料品や自動車、さまざまな消費財はロサンゼルス港や隣接するロングビーチ港に荷降ろしされ、(そこを起点に)トラックや鉄道、配送センター、ショールームへとつながる重要な輸送網が展開される。

 カリフォルニアで外国貿易のコンサルタントを営むジョック・オコネル氏は「警戒感が合言葉だ。港湾労働者の需要は低下しているが、真の被害者は積荷量に応じて支払いを受けるトラック運転手と商品を処理する倉庫作業の従事者だ」と指摘する。

 ロサンゼルス港では最も深刻な影響がいくつか見受けられる。北米西岸労組、国際港湾倉庫組合(ILWU)に加盟する組合員が同港で働くチャンスは最近、半減した。ILWUによると、「臨時雇い」と呼ばれる非組合員のシフトは完全になくなったという。

 ロサンゼルス市港湾局のエグゼクティブディレクター、ジーン・セロカ氏は3月初め、2月半ばから4月1日にかけて海運業者がロサンゼルス入港を予定していた40隻が結局、欠航になったと話した。

 ロサンゼルス港は3月10日の発表で、新型コロナの影響で2月の船荷の量が23%減と、中国の旧正月の時期と同様に落ち込んだことを明らかにした。1~3月期の荷動きは17%減だったという。2月にロングビーチ港で扱ったコンテナは約1割少なかった。

 セロカ氏は「船便の欠航で、日持ちのしない商品や農産品がわれわれの港に積み上がっている」と訴えた。

 ロッテルダム港の当局者も同様に、新型コロナで海上輸送量が月当たり約200万トン減っていると見積もる。

 アジアとの貿易混乱

 米経済紙ジャーナル・オブ・コマースによれば、ニューヨークニュージャージー港湾管理委員会(PANYNJ)は今月入港予定の180隻のうち少なくとも10隻の欠航を予想。また、メキシコ湾からのコンテナ船の7割を扱うヒューストン港の広報担当、リサ・アシュレー氏によれば、今月6隻が欠航になったという。

 テキサス州南東部のコーパスクリスティ港は最近、ヒューストン港を抜いて全米一の原油輸出港に躍り出たが、国際石油価格が急落したことで、顧客のシェール企業による出荷削減を見込む。

 一方、ロサンゼルス港はこのところ、入港する船があまりにも少なすぎてアジアにコンテナを送り返せず、その保管場所に窮している。新型コロナの流行で米国とアジアの間で通常保たれている貿易の均衡が混乱しているのだ。セロカ氏によると、デンマークのコンテナ海運大手、APモラー・マースクが月内に空になったコンテナの移動を手伝うと約束したという。

 コンサルタントのオコネル氏は「非常に深刻な物流の問題だ。対処に努め、大規模な渋滞を招かないように尽力しているところだ」と語った。(ブルームバーグ Michael Sasso)

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