海外情勢

五輪延期もNBC無傷 巨額放映権料 支払い大部分は大会実施時

 米国で五輪の放映権を持つNBCユニバーサルほど、五輪に関わるために多額の資金を支払っている企業はない。2020年東京五輪が延期された今、米コムキャスト傘下のNBCは、この前例のない日程変更が同社の五輪との関係にどう影響していくのか理解する必要がある。

 利益影響は限定的

 まず悪いニュースは、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念で他のスポーツにも暗雲が垂れ込み、新しい番組も撮影されない状況下で、NBCは絶大な人気を誇るイベントを失うことだ。2週間の五輪開催中には数千時間の番組が放映され、通常、プライムタイムの視聴者数は2500万人に上る。NBCは独占放送した前回16年のリオデジャネイロ五輪を「史上最も成功したメディアイベント」と呼んだ。

 ただ、東京五輪は延期されただけで、中止になったわけではない。メディアコンサルタントのリー・バーク氏は、不都合な点もあるが、最大1年延期されても同社の利益に大きな影響はないだろうと指摘。「確かに前払い分はあり、繰り延べられるものと損失になるものはある。ただ20年五輪が21年に実施される限り、NBCは実質的には無傷だろう」と述べた。

 もう一つの朗報は、五輪を放映する放送局は、大会が実施されるまで支払いの大部分を行わないことだ。国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は、IOCが当初受け取るのは費用の5~10%のみで、大部分の支払いは大会実施時まで発生しないと説明した。

 IOCは24日、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)により、20年東京五輪を来年夏までの日程に延期すると発表した。夏季五輪は戦争で中止されたりボイコットされたりしたことはあったが、これまでに日程が変更されたことはなく、前例のない発表となった。

 五輪延期の決定を受けNBCは「世界中で誰もが新型コロナウイルス感染症を封じ込めるというかつて経験のない義務に直面していることから、今回の決定を十分に理解している」と電子メールでコメントした。

 NBCは夏冬4大会分の放映権を44億ドル(約4855億円)で獲得しており、今年がその最後の年に当たる。契約の構造は不明だが、NBCが20年大会実施までIOCに支払わなくてもよい額はおよそ10億ドルに上りそうだ。

 保険取り扱い不明

 NBCは今月、東京五輪向け広告枠の販売が12億5000万ドルを突破したことを明らかにしている。これは16年リオ五輪の12億ドルを上回り、同社にとって過去最高額だ。

 ただ、コムキャストのブライアン・ロバーツ最高経営責任者(CEO)は、NBCが言葉とは裏腹に大会中止のシナリオを想定し、巨額の費用に対する保険に入っていたと明かし、「大会が実施されない限り損失は被らないが、利益は目減りする」と話している。中止と違い、延期された場合にこの保険がどういう扱いになるかは不明だ。

 多くの放送局で放映を予定していた番組が枯渇し始めており、今回の五輪延期は最悪のタイミングだと主張する関係者もいるだろう。

 それでもバーク氏はもう一つの可能性に言及している。仮に今夏、各種スポーツが再開可能になれば、膨大な数のスポーツ関連コンテンツがひしめくかもしれない。NBCだけでも、競馬のクラシック三冠、北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)プレーオフ、男子ゴルフの欧米団体対抗戦「ライダーカップ」、そして夏の終わりにはカレッジフットボールがある。

 バーク氏は「スポーツイベントが重なる事態はこれまでになかった。事実上、放送局が皆、スポーツ局になっているかもしれない」と語る。(ブルームバーグ EbenNovy-Williams)

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